「♯ドレス迷子」の救世主 ISAMU MORITA
「試着すればするほど選べなくなる」
「ISAMU MORITA/イサムモリタ」は、そんな「ドレス迷子」の救世主。イサムモリタは、一目見た瞬間に運命を感じられるようなポイントが随所に散りばめられているので、迷いのあるプレ花嫁様にとっても、1着に絞る「決め手」となっているのです。とりわけカラードレスの定評は抜群。悩める花嫁がどんな点に納得し、運命の1着に出会えているのか、デザイナーの盛田勇さんに聞いてみました。
ー今やインスタグラムはウェディングドレス選びのツールとして定番化していますが、「♯ドレス迷子」という投稿は35万件以上に上っていて、たくさんの中から選びきれないプレ花嫁様も多いことが窺えます。
盛田 情報が溢れている時代だからこそ、お客様に「運命」を感じていただく工夫は、作り手にとって非常に重要な役割だと思っています。
私のインスタグラムのフォロワーの中には「結婚を考えるには早すぎるけど、ドレスには憧れている」といった若い世代の方も多くいらっしゃいます。このように日頃からドレスに関してたくさんの情報に触れ、目が肥えてくると、いざ「運命の1着」を選ぼうとしても、あれこれ迷ってしまうのは当然だと思います。
私は「繊細さ」を深く突き詰めてデザインしており、そこがお客様にとっても決め手になることが多いと思います。
たとえば、一見すると淡いくすみグリーンに見えても、実は、濃さや色味の異なる8枚、10枚のチュールを重ねることで、絶妙なカラーを表現しているドレスもあります。くすみカラーと言っても、ベースに明るいグリーンを入れているので、全体的に暗い・重たい印象にならないように工夫しています。2、3枚でも似たような色味を出すことはできますが、どうしてもチープな印象になりがちです。8枚、10枚重ねることで繊細さが感じられるので、結婚式当日、ゲストの方に上質な印象を与えられるだけでなく、花嫁様ご本人も試着すると心が踊るような高揚感を感じていただけるのではないかと思っています。
中には、光沢を出すために3種類の糸を組み合わせて紡いだレースもあります。使用している糸の中には、ごく小さな透明のスパンコールを撚り合わせたものがあったりして、水面のキラメキのような柔らかい光を表現したりしています。
最近は、インスタでも「運命のドレスに出会えた・出会えない」といったコメントが目立ちますが、運命を感じていただくために、作り手としては着る人の心に訴えかけるような、こだわりを詰め込たいと思っています。
ーどんな時にデザインのインスピレーションが湧きますか?
盛田 頭の中は常にドレスのことでいっぱいですが、インスタでお客様の投稿を見てひらめくこともありますね。
以前、「黒っぽいカラードレスって地味かと思っていたけど試着してみたら意外と良かった」「でも親や周りの反応はイマイチ」といったつぶやきを偶然目にしたことがきっかけで、ブラウン系のカラードレスをつくったこともあります。
最も意識したのは、ブラウン×黒を誰が見ても「かわいい」と思えるようなデザインにすることです。ご本人は着てみたくても、ご両親など周りのからの声もあって、自分の意志だけでは決められないという意見も多かったので、誰もが納得できるようなデザインを心掛けました。
かわいらしさを引き立たせる大きなポイントはウエスト部分に付けた白いレース。基本的に、ブラウンや黒は「かわいい」というより、大人っぽい印象になりがちなので、そこへ黒や赤のレースを重ねてしまうと、余計に重たくなってしまうんです。白を選ぶことで、ブラウンや黒でもガーリーに、且つウエストを細く見せることもできます。
また、スカートは縦のラインに濃淡が出る色使いを意識しています。ベースカラーを単色にしてしまうと、重たくなってしまうので、似た色味でもサテンやオーガンジー、チュールなど異素材を組み合わせて軽さを表現しています。チュールは4枚重ねていますね。
「ドレス迷子」になってしまうのは、似合っていない、またはもっと似合うドレスがあるのに出会えていないというのも、大きな要因の1つだと思っています。インスタの試着レポートを見ていると「この花嫁様は赤いドレスばかり試着しているけど、本当はパープルの方が似合いそう」などと思うこともあり、そういうのはデザインの参考にしています。
ーリアルな「プレ花嫁」がデザインの参考になることもあるんですね。
盛田 私は、「非日常」よりも「日常」、たとえば、電車に乗ったら通勤中の女性の服装などを観察したりして、デザインのヒントを探しています。先ほど触れたブラウン×黒のカラードレスは、花嫁世代の方の髪や肌の色を考えても似合うと思えました。
さらに、お客様がご自身でドレスに「足し算」していけるようなデザインというのも、私が心掛けているポイントの1つです。花嫁様は、ドレスを着るだけでなく、ヘアメイクもするし、アクセサリーも付ける、ブーケも持つし、パーティー会場の装飾にもこだわりたいはずです。そのため、お客様がアクセサリーやブーケなどを、できるだけドレスのデザインに制限を受けずに、自由に選んでいただけるようにと考え、デコラティブ過ぎないデザインを意識しています。たとえば、ブーケを持つことを想定して腰周りの装飾は抑えていたり、とはいえ、シンプルだったら良いわけでもないので、ごちゃごちゃし過ぎない程度に色合いを工夫したりもしています。
ブラウン×黒のカラードレスは、ブーケの選び方次第でアレンジしやすいというのもポイントの1つ。甘さを際立たせたいなら淡いピンク系のブーケ、エレガントにしたいなら真っ赤なバラ、グリーン系のブーケを選ぶとナチュラルにもなる、ドレスをキャンバスに見立てたコーディネートがしやすいんです。
ードレスに「運命」を感じるには、試着した姿が素敵というのも、重要な要素だと思います。日本人のスタイルを際立たせるような工夫などはありますか?
盛田 どんな方にも共通するキーワードとして「細く見せる」という点にもこだわっています。
たとえば、ウエスト部分にレースを載せるにしても、細く見えるような“流れ”を意識していて、レースのデザインに合わせて、ビーズの使い方にこだわることもあります。ビーズの量を、胸元は多めにし、ウエスト部分にかけて減らしていくと、光の反射によってバストアップ効果やウエストの引き締め効果が生まれたりします。さらにウエストをベルトで締めることで、より上半身がコンパクトにまとまって、足も長く見えます。
最近は袖付きドレスも人気がありますが、実は袖付きの場合、袖の長さと胸元や首元の空き具合など、全体のバランスによって、隠したつもりが逆に太く見えてしまったり、顔が大きく見えてしまったりするので、ミリ単位の細かい調整が不可欠です。
こうした繊細な仕事が「なんとなく痩せて見える」「しっくりくる」といった感覚につながり、それも「運命の1着」の決め手になると思います。
ーこれからドレス選びをするプレ花嫁の皆さまにアドバイス・メッセージをお願いします。
盛田 似合う・似合わないではなくて、気に入ったドレスを着るのが一番の幸せだと思います。たとえば「この色のドレスが着たいけど、なんとなく血色が悪く見える」といった理由で、2番目、3番目に好きなドレスを選ぶことになった瞬間、明らかにテンションは下がってしまうと思うんです。「なんとなく似合わない」といった問題は、ヘアメイクやアクセサリー、サッシュベルト、ブーケなど、他の要素でカバーできることもあるはずです。
また、「これしかない!」と運命を感じるドレスは、第一印象で惹かれるかどうかも、重要なポイントだと思います。そのドレスに、ヘアメイクやアクセサリー、ブーケなど、コーディネートを足していくたびに、ドレスの魅力もより一層深まっていき、「やっぱりこれを選んで良かった」と思える、そんなドレスを選んでいただきたいと思います。
もし「似合わないから」と諦めて、別のドレスを選んでしまえば、「やっぱりあのドレスを着ればよかった」と後悔してしまう可能性も低くないと思います。作り手としては、10年後に写真を見ても「またこのドレスを着たい」と思っていただきたい、常にそんな意識でドレス作りに携わっています。