結婚式でも頑張りすぎず自分らしく過ごしたい花嫁に支持されている「エフォートレス」なウェディングドレス。スレンダーラインやエンパイアライン、Aラインなどボリュームレスなシルエットで、ゲストと近い距離で会話や写真撮影を楽しむパーティーにもぴったりです。シルエットはシンプルでも、繊細なレースや刺繍、「くるみボタン」など、ディテールにはこだわりたいところ。ここでは、大量生産にはない、作り手の温かみが感じられる「一点モノ」のナチュラル&エフォートレスなウェディングドレスをデザインのテイスト別に紹介します。
繊細なレースや刺繍、可憐な雰囲気が漂うバルーンスリーブ、少しレトロな印象のスタンドカラーなど、アンティーク、且つロマンティックな世界観を表現しているのがPureart(ピュアート/東京都港区)。ソフトチュールやシフォン、ジョーゼットなど、歩いた時に体のラインが美しく見えるような、軽く柔らかい素材を多く使用しているため、「ゲストと近い距離で会話を楽しむ」といったパーティースタイルで多く選ばれています。たとえば、リゾートウェディングやガーデンを併設したレストランでの貸し切りパーティー、家族や親族のみでアットホームに楽しむパーティーなど。
スカートは着丈の短いデザインも多いため、無理に高いヒールを履く必要もなく、バレエシューズのような歩きやすいフラットシューズを選ぶ花嫁も多いそう。光を通す軽く柔らかい素材は、特にガーデンやリゾート地で花嫁の透明感を際立たせます。
ボレロを着替えてスタイルチェンジも
商品展開は、インポートドレス半分、オリジナルデザイン半分。インポートドレスはスペインやベルギーなどを中心にセレクト。チュール生地にドット柄が入っていたり、フレンチスリーブがフリルを段々に施した「ティアード」になっていたり、ディテールの個性が光るデザインを多くラインナップしています。
オリジナルデザインは体のシルエットを美しく見せるシンプルなワンピースに、繊細なレースや刺繍を施したボレロを羽織るデザインが特徴。挙式はワンピース1枚でシンプルにスタイリング、パーティーはバルーンスリーブのボレロで愛らしくといったスタイルチェンジも可能です。セットのボレロ以外に選べるボレロも複数揃えており、お色直し代わりにボレロを着替えてスタイルチェンジする花嫁もいるそうです。
ウェディングドレスに限らず、「ナチュラル」「ガーデンウェディング」などをキーワードに、カラードレスやタキシードも取り揃えています。
ウェディングドレスのラインナップのうち、ホワイトデニムなどの天然素材やミモレ丈が6割を占めるというBERRYSTUDIO(ベリースタジオ/東京都世田谷区)。ガーデンウェディングに代表されるナチュラルウェディングだけでなく、ゴルフ場やバリ島の洞窟の中にあるレストランをパーティー会場に選ぶような、個性的な花嫁にも支持されています。「結婚式準備をプランナー任せにするのではなく、自分達も楽しみたい」といった思考のお客様が多く、花嫁DIYで独自の世界観を表現したい意欲も高いそうです。グラフィックデザイナーなどアーティスティックな職業に就いているお客様も少なくありません。
襟や袖は1人1人に合わせてカスタマイズ
ベリースタジオを象徴するホワイトデニムのウェディングドレスは、サイズやデザインをカスタマイズできる点も人気のポイント。着る人のサイズにぴったり合わせられるだけでなく、襟の開き具合や袖の長さなど、1人1人に合わせてカスタマイズしています。デニムワンピースの下に履くチュールスカートが結婚式の特別感を演出するアクセントに。結婚式後は、スカート丈を短くして、普段のおしゃれでも活躍します。
ベリースタジオでは、デザインからパターン(型紙)制作、素材集め、仕上げまで、一切外部に委託せず、一貫してアトリエ内で手掛けています。そのため、細かいカスタマイズにも柔軟に対応できるのです。
「特に、ホワイトデニムのドレスは「他にない」という理由で選ばれる方も多く、他の誰とも違う、自分ならではの個性を求めるお客様にも選んでいただけていると実感しています」(デザイナー:松尾理恵さん)
アイコン的なウェディングドレスは、一切の装飾を排した、とことんシンプルなサテン素材のキャミソールドレス。ポイントはトレンドのスパゲティストラップです。ドレスがシンプルなだけに、大ぶりなイヤリングやエキゾチックな雰囲気の花「プロテア」を使ったブーケなどを合わせると、個性的でスタイリッシュな花嫁になれます。
ただ、着てみると「プレーンすぎてさびしいかも」などと戸惑う花嫁に選ばれているのが、全体に刺繍とスパンコールがあしらわれた総レースの「フィグドレス」。裾が刺繍の柄に合わせて切り取られた「スカラップ」状になっていて、細部まで繊細さが感じられます。ドレス全体に柄が入っていますが、その他の装飾はなく、シルエットもストンとしたスレンダーラインでシンプルにまとめています。
背中の開きなども日本人の感覚に合わせて調整
日本人の感覚に合わせてトレンドを取り入れている点もガーデンオブグレイスの特徴です。胸や背中が大きく開いたデザインもトレンドですが、「かがんだ時に胸が見えない程度」「お尻までは見えないように」など、日本人が受け入れやすいようにトレンドを取り入れています。
海外の最新トレンドが凝縮されたインポートドレスは日本人体型に合わないことも。たとえば、ローウェストのドレスでもウェストラインをできるだけ高めにすることで、欧米人と比べて華奢でメリハリの少ない日本人体型に合わせたりしています。シンプルなドレスをカッコよく着こなしていただくために、ボレロやアクセサリーもオリジナルで用意。アクセサリーは約200種類、ボレロは16種類。
ガーデンオブグレイスでは、レンタルと販売の両方に対応していますが、レンタルの場合は、メンテナンスにも注力しています。たとえば、戻ってきたドレスはクリーニングに出す前に、首回りや腋など汗のつきやすい上半身は水洗いして新品の状態に戻せるように意識しているそうです。
基本のドレスシルエットはエンパイアラインやAライン、レンタルではなく購入のみで価格は8万円・10万円の2パターン。装飾を省いたシンプルなオーガニックコットン素材のドレスに刺繍やコサージュ、サッシュベルトなどを加えて自分好みにアレンジできるのも大きな魅力です。刺繍などの装飾はオプションで、1点5000円~1万8000円程度。オプションの装飾を含め、1着1着、全て手作業で丁寧に仕上げています。
S・M・Lなど基本サイズの試着ドレスを用意しており、それを元に微調整が可能。特に、スカート丈はその人の身長やシューズのヒールなどに合わせてぴったり合わせることができます。試着用ドレスは、自宅への配送サービスも行っており、来店しなくてもサイズチェックできます。
体に馴染んで着心地のよいオーガニックコットン
コットンというと固いイメージもありますが、オーガニックコットンは柔らかく体に馴染んで着心地がよく、見た目の印象は「カジュアル」というよりも「アンティーク」「ナチュラル」といった言葉がぴったりです。
お客様が選んでいる会場はガーデンウェディングやレストランウェディング、中にはキャンプ場や牧場など結婚式場ではない場所で挙げるケースも少なくありません。結婚式のテーマやコンセプトがはっきりしていて「(結婚式のテーマに合わせて)こういう刺繍を入れられますか?」といった具体的なオーダーを受けるケースもあるそうです。
結婚式後のリメイクも得意としておりパーティードレスへのリメイクは3万5000円程度。草木染めなどナチュラルなリメイク手法も人気です。たとえば「新婦自身のパーティードレスとベビードレス、両方作りたい」といったオーダーにも、パーティードレス用にカットした裾の生地と、他のドレスで余った生地などを組み合わせてベビードレスを作るなど、全て自社アトリエで作っている強みを活かして、柔軟に応じています。