■ 引菓子はゲストの家族へのお土産でもある
引菓子は引出物と同じく、列席してくれたゲストへの感謝を伝えるとても重要なアイテムですが、引出物よりもゲストの家族へのお土産という意味合いが強くなります。特に、既婚者の男性ゲストは妻や子どもに渡すケースも多いため、なおさらです。せっかく渡しても、当たり前すぎるものだとただのお土産と変わらず、感謝の気持ちも伝わりづらいですよね。
本当に喜ばれる引菓子選びのポイントは、「そのゲストが誰とどのように食べるか」を考えること。たとえば、小学生以下の子どもがいる家庭なら休日のティータイムに家族全員で食べる、子どもが中学生以上なら家族一人ひとりが好きなタイミングで食べる、一人暮らしの女性なら会社に持って行って同僚とシェアするかもしれないといった具合に、相手にどのように食べてもらうのかを考えると、どんなお菓子が相応しいかは自然に絞られてきます。
よく選ばれる引菓子のランキングを見ると1位はバームクーヘンと紹介されていますが、1人暮らしのゲストがホールのバームクーヘンをもらったら、1人で食べきれずにもてあましたり、結婚式に招待される機会の多いVIPの家族なら「またこれか」と飽きられている可能性も高いでしょう。相手のことをしっかり考えれば、選択肢はバームクーヘンに限らなくなります。
本当に喜ばれるには、全員に同じものを贈るより、相手の家族構成やライフスタイルに思いを巡らせたうえで贈り分けする必要があるのです。
■ ゲストの家族構成別 贈り分けのアイデア
では、ゲストが引菓子を「誰とどのように」食べるか、どのように想像すればよいのでしょうか。イメージを膨らませたうえでどんな引菓子を選べばよいかをご紹介します。
-中学生以上の子どもがいる男性ゲスト-
引菓子を持ち帰ったら奥さんや子どもに渡す可能性も高い男性ゲスト。子どもも中学生以上となると、塾や部活動、友人と遊びに行くなど、家族以外との時間も増えるため、引菓子も家族揃って食べるというよりは、一人ひとり、自分のタイミングで食べたい時に食べるというスタイルが想像されます。
そんな家庭には、個包装のお菓子がおすすめ。食べきりサイズなら乾燥してパサパサになったり湿気る心配もなく、おいしく食べてもらえます。
-小学生以下の子どもがいるゲスト-
子どもが幼い家庭は休日の「おやつタイム」など、家族団らんの時間に食べてもらえると嬉しいですよね。そんな家庭にはホールのバームクーヘンもおすすめ。みんなでひとつのお菓子をシェアするのも楽しみのひとつになりそうです。幼い子どもが食べることを考えて、無添加のもの、素材にこだわったやさしいものなどを選ぶと、気遣いを感じてもらえるでしょう。
-スピーチや乾杯の発声をお願いするようなVIPゲスト-
職場の部長や役員クラスなど、結婚式への参列に慣れているゲストの家族は、引菓子を食べ慣れているだけでなく、目が肥えている可能性もあります。たとえば、行列ができたり、普段は売り切れ必至でなかなか手に入らないなど、付加価値のあるお菓子なら「いつもと違う!」と喜んでもらえるのではないでしょうか。
-20~30代、一人暮らしの女性ゲスト-
トレンドに敏感な若い女性ゲストの場合、少量でも非日常感や少し贅沢気分を味わえるような有名ブランドを選べば、自宅で紙袋を開けた瞬間にテンションが上がり、結婚式の思い出もより良いものとして刻まれるかもしれません。1日の終わりなどに「ご褒美タイム」として楽しめるものを選んでみましょう。
-40代以上、目の肥えた女性ゲスト-
日頃から食にこだわっていたり、ビジネスでも手土産の用意に慣れていたりする目の肥えた大人の女性ゲストには、「一見さんお断り」の店でしか手に入らないような、希少性があったり、「知る人ぞ知る」通なお菓子がおすすめです。その店のこだわりなどが書かれたショップカードを見て、後々、自分でも買いに行ったり、大切な人のプレゼントにしてくれたら贈り甲斐もありますよね。
■ おいしいお菓子を贈りたいなら試食しよう
式場で取り扱っている引菓子は、中間業者が多く原価率が低くなりがち。コストパフォーマンスという点では、あまり良い選択肢とはいえません。
一般的に式場の引菓子は、メーカー→卸売業者→結婚式場→カスタマーという流れになっています。ある卸売り業者では、中間マージン50~60%で結婚式場と取引きしており、これが業界の相場だといいます。たとえば販売価格1,000円のお菓子なら結婚式場の仕入れ値は500円以下、そうなるとメーカー側もお菓子の材料費をカットせざるを得ないというのは明白です。
なるべくよいものを引菓子にしたいなら、試食したうえで選ぶのがおすすめです。結婚式場で取り扱っている引菓子は一般流通しておらず、試食できないことも多いですが、デパ地下などであれば食べ比べることができます。
■ バームクーヘンなら「定番だから」ではなくおいしさを考えて
先述の卸売り業者では、年間3万~4万個販売する引菓子のうち、半分はバームクーヘンだそうです。選ばれる理由は「結婚式といえばバームクーヘンだから」「親に縁起物といわれたから」といった内容が大半だとか。バームクーヘンが人気なのは「おいしい」「喜ばれる」というよりも、「定番」という理由が大きいようです。
その企業では、「定番とはいえ、本当においしいものを提供したい」と考え、数々のバームクーヘンを食べ歩き、もっとも印象に残っているのは「治一郎」の直売店で扱っているバームクーヘンだったそうです。「化学調味料の味がせず、卵の味がしっかり感じられた」というバームクーヘンの賞味期限は当日中、そのため取引きにも至らなかったということですが、こういった商品なら自信をもって引菓子として贈ることもできますよね。
式場に任せっぱなしにせず、贈った相手一人ひとりに満足してもらえるかどうかを考えて自分たちで探せば、おもてなしや感謝の気持ちはより伝わります。そうして引菓子を選ぶこともまた、結婚式の大きな楽しみのひとつになるのではないでしょうか。
-まとめ-「自分ならどれが嬉しいかな」と楽しみながら選んで
引菓子を決めるのは結婚式の1ヵ月前など打ち合わせの終盤。結婚式が目前に迫って忙しかったり、大幅な予算オーバーに驚いて節約モードになったりするため、体裁を整えるだけで精一杯、ゲストの満足度まで考えが及ばなくなることも多いようです。
でも、1,000円、1,500円のお菓子はゲストにとっても特別感のあるものなので、せっかくなら喜ばれるものを渡したいところ。ふたりにとって大切なゲストが喜んでいる顔を思い浮かべてワクワクしながら選びましょう。デパ地下やメディアでも話題のお菓子を食べ比べながら「自分ならこういうのが嬉しい」など自分事として捉えると、より一層楽しみも増すでしょう。