■宛名書きは手書きと印刷、どちらを選ぶ?メリット・デメリットをご紹介
結婚式の招待状を自分たちで手作りする場合、宛名書きには「手書き」と「印刷」のふたつの方法があります。どちらを選んでも問題ありませんが、伝統を重んじたいと考えている場合は手書きがおすすめです。ただし、ゲストの人数が多い場合や忙しくて時間が取れない場合には、印刷を選んでもマナー違反にはならないので、自身に合った方法を選んでみてください。
・手書きと印刷それぞれのメリット・デメリット
手書きのメリットは、気持ちを込めやすくなるだけでなく、節約にもなるという点。毛筆または筆ペンさえあれば宛名書きをはじめることはできますが、どうしても手間と時間がかかってしまうのがデメリットといえます。また、きれいな字を書くのが苦手な人にとってはハードルが高いでしょう。
印刷のメリットは綺麗で均一に仕上がる点です。手書き風の書体を選ぶこともできます。一度データを作ってしまえば、あとは印刷するだけなので手間がかかりません。データの作成工数をデメリットに感じる場合もありますが、手書きに比べると圧倒的に作成時間を短縮できます。
・代筆を頼んでもOK?
「手書きで招待状の宛名書きをしたいけど腕に自信がない」という場合には、招待状の宛名書きを代行業者に依頼しても問題ありません。確実に綺麗な仕上がりになるので、時間をかけずに手書きの招待状を作成したい場合におすすめです。
一般的に作成費用は1通数百円ほどの費用がかかります。時間や手間、費用などを比較して、自身に合った方法を選びましょう。
■自分で宛名書きする際の注意点
手間や時間がかかるものの、伝統を重んじつつ温かみのある招待状ができるのは手書きならではのメリットです。ここからは、自分で宛名書きをする際の注意点について解説していきます。
・使用するペンの太さや濃さは?
「祝い事は濃く太く」が基本。毛筆または筆ペンを使用しましょう。万年筆や細字のボールペンは不向きなので注意してください。
腕に自信がない場合は筆ペン、ある場合は毛筆を選ぶとよいでしょう。筆ペンは毛筆よりも扱いやすく安定して書けるためです。筆ペンにもいくつか種類がありますが、本物の毛筆のように書ける毛筆タイプがおすすめです。薄墨は弔事用となるため使用してはいけません。また、墨がかすれていないかにも気をつけてください。
・宛先が長い場合はどうする?
宛先の住所が長くて入りきらない場合やバランスが悪くなる場合でも、都道府県を省略してはいけません。正式な文章なので、必ず都道府県からすべて入れるようにしましょう。
・郵便番号欄がない封筒はどうする?
最近では、郵便番号を書く欄がない封筒も多くあります。その場合、郵便番号は住所の上に数字で横書きします。「〒」マークは必要ないので、郵便番号のみを記載しましょう。
・名前や肩書きに間違いのないように!
名前や肩書きの間違いは大変失礼にあたります。相手の名前や肩書き、住所などに間違いがないかを、念入りに確認しましょう。ただし、招待状の送付後に肩書きが変わった場合は変更する必要はありません。名前の漢字や肩書きに少しでも不安が残る場合は、事前に確認しておくことをおすすめします。
・封筒と招待状の向きが同じかチェック!
封筒と招待状には、「縦書き」と「横書き」があります。どちらの書き方を選んでもよいですが、これらは統一することが一般的です。統一されていないとよい印象を与えないことが多いので注意しましょう。
・封筒の開け口の向きにも注意
洋封筒を縦書きで使うときは、裏面を自分に向けて開け口が右側にくるのが正しい向きになります。誤って逆にしてしまうと、不祝儀(おめでたくないこと)を表すことになるので、注意しましょう。
■宛名面の書き方
招待状を送る相手は、友人や家族だけでなく、会社の上司やお世話になった先生も含まれることでしょう。ここでは、宛名書きの基本ルールを解説してから、送る相手の立場や世帯の人数などによって異なる宛名書きのポイントを解説していきます。
・宛名書きの基本ルールは?
【1】「〒」のマークは使わない
最初に郵便番号についてです。封筒の形に限らず、郵便番号はいちばん上に記載します。横書きの場合は左詰め、縦書きの場合は右詰めに記載し、「〒」のマークは使いません。
【2】住所が長い場合は2行にする
住所は都道府県名から書き出し、長い場合は2行に分けて記載します。その際、2行目の書き出しは、1文字分下げて書き始めましょう。
【3】住所の数字は、縦書きは漢数字、横書きは算用数字にする
住所内にある番地などの数字は、縦書きの場合は漢数字、横書きの場合は算用数字を用います。
【4】宛名は住所よりも大きな字で1文字下げて書く
宛名は封筒の中心に、郵便番号や住所よりも大きな字で書いてください。住所よりも1文字分下げて書き始め、住所が2行になっている場合は2行目の書き出しと合わせます。
招待状の宛名書きでは、この4つが書き方の基本になります。ここからは、送る相手ごとに具体的な例を見ていきましょう。
・個人に送る場合
独身の友人など個人宛てに送る場合は、送る相手の名前に「様」をつけて記載します。名前や住所を間違えるのは失礼にあたるので、正しい表記を確認しておきましょう。
・夫婦に送る場合(面識有無)
夫婦を招待する場合には、ふたりの名前を書きます。ふたり目の姓を省略するのは構いませんが、「様」を省略するのはマナー違反です。また、名前の文字数が異なる場合でも書き始めと終わりの位置を統一するようにしましょう。
奥さまと面識がない場合は、旦那さまの名前に添えて、「御奥様」「奥様」「令夫人」などと書きましょう。旦那さまとを面識がない場合は、「御夫君」と書きます。「御夫君」は相手を立てる尊称で、「令夫人」などと対になる敬称です。
・家族に送る場合
家族を招待する場合は、夫婦の名前だけでなく子どもの名前も宛名に書くようにしましょう。子どもの年齢が小学生以下の場合は「様」ではなく、「くん」「ちゃん」でも問題ありません。
4人以上の家族を招待する場合は宛名を書ききれない可能性もあるので、夫婦ふたりの名前と「ご家族様」とまとめて記載してもOKです。
・会社に送る場合
会社の上司や取引先の人に送る場合は、肩書も記載します。「肩書」「送る相手の名前」「様」の順で書き、肩書は少し小さめの文字で書くのが一般的です。「○○部長様」や「○○社長様」のように肩書に「様」をつけると二重敬語になってしまうので気をつけましょう。「株式会社」を(株)と省略したり、会社名・部署名を省略したりせず、必ず正しい名称で書きます。
・先生に贈る場合
お世話になった先生や教授宛ての場合は、「様」でなく「先生」「教授」と記載しても問題ありません。勤務先に招待状を送るのであれば、肩書を記載するのも忘れないようにしましょう。この場合も、「校長○○様」のように「肩書」「送る相手の名前」「様(先生・教授)」の順で記載してください。
・手渡しした方がよいのはどんな人?住所は書くべき?
郵送よりも手渡しの方が敬意を表することができるため、勤務先の上司や同僚、結婚式のスピーチや出し物などをお願いするゲストには手渡しするのがおすすめです。
手渡しで招待状を送る場合は住所を書く必要はなく、相手の名前と「様(先生など)」のみで問題ありません。住所が記載されていると、「郵送しようと思っていたけど手渡しにした」と相手に受け取られてしまう可能性があるからです。
・招待状では「切手」にも気を遣いましょう
近年では「慶事用切手」が定番の切手として人気です。慶事用切手は結婚式の招待状にはもちろん、その他の行事や目上の方に手紙を送る際にも使えます。切手を貼る位置は縦長の封筒では左上、横長の封筒では右上と決まっています。
■差出人面の書き方
招待状の封筒の裏面には、誰から送られてきたのかがわかるように差出人の名前と住所を書きます。差出人は式の主催者のことを指しており、新郎新婦が主体となった式であれば「新郎新婦」、親の資金で式を挙げるのであれば「新郎新婦の親」の名前を記載するのが一般的です。
縦書きの場合、住所が1行で収まらないときには2行目を1文字下げて書きます。ふたりの名前は始まりと終わりを揃えるときれいに見えます。例えば、富太郎と花子のように名前の字数が違っていても、富と花、郎と子が揃うように書くとよいでしょう。横書きの場合は頭を揃えるのではなく、1行づつ、封筒の左右中央に位置するように書きましょう。
・主流は「新郎新婦」が差出人
恋愛結婚が主流の現代では、親ではなく新郎新婦が結婚式の主催者であることが一般的になってきました。友人たちとカジュアルな式を楽しみたい場合や、式の資金をふたりがメインで出資している場合は、差出人を新郎新婦にするとよいでしょう。
・伝統を重んじるなら「親」が差出人
親の出資で結婚式を開催したり、親の知人を多く招いたりする場合、また、伝統や格式を重んじていたり、結婚を家と家との結びつきだと考えている家の場合、招待状も「親名義にするのが当たり前」と考えられているケースもあります。のちのち親族などと揉めることがないよう、事前に両家の親に相談しましょう。
・入籍済みの場合
入籍して苗字が変わっている場合は、旧姓をカッコ書きで付け足しておきます。入籍してから期間が経っていない場合には、旧姓のフルネームを使っても問題ありません。
・同居している場合
同居している場合は、記載する住所はひとつになります。そのため、新郎新婦のどちらが呼んだゲストなのかによって返信用はがきの受取人名を変えておくと、参加する人を判別するのに便利です。
・別々に住んでいる場合
別々の住まいで暮らしている場合は、新郎新婦それぞれの住所と名前を記載します。親の名前で招待状を書く時も同様で、実家の住所と父親の名前を使って差出人とします。
なお、この方法で記載する際にはどこに返信用はがきを届けるかを決めておく必要があります。どちらかの家ですべて受け取るのか、ゲストによって届け先を変えるのかを話し合っておきましょう。
・主催者が親の場合
それぞれの実家の住所と父親の名前を書き、返信用はがきの到着先を決めておきます。一般的に差出人として記載する名前は父親のものですが、事情がある場合には母親の名前で出しても問題ありません。
■マナーをしっかり守って、素敵な招待状を送りましょう
仮に招待状に書いてある名前の漢字が間違っていたとしたら、相手は「指摘したほうがよいのか、しないほうがよいのか」などと気を遣わせてしまうことになります。気持ちよく式に参加してもらうためにも、書き方のマナーやルールをしっかり把握して、お互いに気持ちのよい、素敵な招待状を作ってください。
監修:Yoshiko(おもてなしパートナーズ)