■結婚挨拶・顔合わせ食事会のあと、相手方ご両親に送る「お礼状」とは?
・結婚挨拶や顔合わせ食事会のお礼状とは?
結婚挨拶や顔合わせ食事会後に送るお礼状には、主にふたつの意味があります。
ひとつは、その場をもうけてくださったことへのお礼。ふたつ目は、今後もよろしくお願いします、と伝えることです。
「お礼状なんてちょっと堅苦しくないかな?」と思えるかもしれませんが、結婚に対する真剣さや、誠意を伝えることにもなるので、マナーを守ったお礼状を送るとご両親は安心するでしょう。もし普段から相手ご両親と仲がいいなら、親しみやすい表現にしても構いません。
・お礼状の形式は? LINEやメールでもOK?
実は、結婚挨拶や顔合わせ食事会のあと、ご両親に対してなにもしていない人がほとんどです。お礼状を送らないからといって、悪い印象を与えることはないかもしれませんが、その日のうちに電話、またはLINEやメールでお礼を伝えるのが最低限のマナーです。遅くなってしまった場合でも、翌日の午前中には連絡するようにしましょう。そのあと2〜3日以内にお礼状も送るとさらに好印象になります。
普段から相手のご両親と親しくしている間柄なら、電話、またはLINEやメールなどでお礼の気持ちを伝えるだけでもいいでしょう。LINEやメールでお礼を伝えるときの例文も、この記事で紹介していきます。
■手書きのお礼状を送る意味とは
・手書きのお礼状を送ると印象がよくなる!
手書きのお礼状は、メールやLINEなどよりも気持ちが伝わりやすく、丁寧で誠実な人という印象を与えることができます。印刷したお礼状は、「嫌々書いた」とか、「誰かに言われて書いた」という印象を与えてしまうかもしれません。たとえ字が下手だったとしても、丁寧に書いてあれば、気持ちや誠意は伝わるはずです。手紙を書くことに慣れていない人もいるかもしれませんが、お礼状は手書きにするようにしましょう。
また、結婚挨拶や顔合わせ食事会のときに緊張してうまく話すことができず、自分の良さや誠意がうまく伝わらなかった、ということもあるでしょう。そんな時もお礼状を送ることでフォローすることもできます。
・両家の信頼関係にもつながる
自分たちだけでなく、親同士の信頼関係にもつながります。なぜなら、手書きのお礼状を送ることで、「子育てのしっかりした両親だ」という印象になるからです。
■正式なお礼状の基本的な構成
・頭語・前文・主文・末文……お礼状には「構成」がある
正式なお礼状には、構成があります。正式なマナーの通りにお礼状を書きたい場合は、この構成を守るとよいでしょう。
正式なお礼状の構成は、以下の通りです。
1 頭語
手紙の文頭には「拝啓」などの頭語を書きます。
2 前文
次に、結婚挨拶の時間をいただいたことへのお礼を書きます。
3 本文
本文には、挨拶当日記憶に残っていることや、「今後ともご指導よろしくお願いします」といった文言を書きます。お礼状のなかでもっともオリジナリティを出せる箇所です。
4 末文
最後に改めてお礼を述べます。
5 結語
「敬具」などの結語で締めくくります。
6 日付、署名、相手の両親の名前
最後に、日付、自分の署名、相手の両親の名前を書きます。
・頭語・結語の例
頭語…拝啓、拝呈、一筆申し上げます(女性のみ)
結語…敬具、拝具、敬白、かしこ(女性のみ)
・正式なお礼状の例文
ここからは、実際の例文を紹介していきます。まずはお礼状の基本型となる例文です。これに自分の素直な気持ちを入れたり、当日のできごとを加えたりして、アレンジするのがおすすめです。
【頭語】
拝啓
【前文】結婚挨拶や顔合わせ食事会のお時間をいただいたことへのお礼
先日は貴重なお時間をいただきまして、ありがとうございました。
【本文】感謝や今後について、自分の気持ちを表現
お二人の温かい心遣いに緊張もほぐれ、楽しいひとときを過ごすことができました。この度は、〇〇さんとの結婚を快くお許しいただきまして、感謝の念で一杯です。まだまだ若輩者ですので、今後もお二人に教えていただくことは多いかと思いますが、ご指導のほど、よろしくお願い申し上げます。
【末文】改めてお礼
末筆ではございますが、お二人のご健康とご多幸をお祈りいたします。
【結語】
敬具
署名・日付
令和○年 ○月○日
自分の署名
相手の両親の名前
■そのまま使えるシチュエーション別の例文集
ここからは、普段から両親と仲がいい場合や、緊張してうまく話せなかったときなど、シチュエーションに合わせて、そのまま使える便利な例文を4つ紹介します。
・普段から仲が良く、堅苦しくないお礼状の例文
すでに相手方の両親と仲が良い場合は、頭語や結語などを省き、堅苦しくないお礼状を書きましょう。きちんとした言葉遣いを心がけつつ、素直な気持ちを伝えると好印象です。
【前文】結婚挨拶や顔合わせ食事会のお時間をいただいたことへのお礼
お父さま
お母さま
先日はお時間をいただきましてありがとうございました。これまで、〇〇さんのご両親にはとてもよくしていただいておりましたが、ようやくきちんとご挨拶ができたこと、嬉しく思っています。
【本文】感謝や今後について、自分の気持ちを表現
何度かお会いさせていただいていましたが、改めて結婚のご挨拶となると、とても緊張してしまいました。あたたかく迎え入れてくださり、感謝の気持ちでいっぱいです。お二人にはこれからも、いろいろとご相談をさせていただくことと思います。引き続き、ご指導いただけましたら幸いです。
【末文】改めてお礼
まずはお礼を申し上げたく、簡単ですが手紙を書かせていただきました。今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。
署名・日付
自分の署名
令和○年 ○月○日
・(結婚挨拶で)食事をご馳走になった場合の例文
結婚挨拶に行って食事をご馳走になった……そんな時には、以下の例文を参考にしてみてください。
【頭語】
拝啓
【前文】結婚挨拶のお時間をいただいたことへのお礼
先日はご多用のなか、貴重なお時間をいただきありがとうございました。
【本文】感謝や今後について、自分の気持ちを表現
また、美味しいお料理までご馳走になり、大変ありがたく思っております。特に(〇〇のお料理)がとてもおいしかったです。
緊張してしまいましたが、お二人のあたたかいお心遣いにふれ、楽しいひとときを過ごすことができました。
これから〇〇さんと協力し、ご両親のような明るい家庭を築いていきたいと改めて決意いたしました。
【末文】改めてお礼
まずはお礼を申し上げたく、お便りいたしました。今後とも、ご指導のほどよろしくお願い申し上げます。
【結語】
敬具
署名・日付
令和○年 ○月○日
自分の署名
相手のご両親の名前
・緊張してしまってうまく話せなかった場合の例文
緊張してうまく話せなかった……結婚挨拶や顔合わせ食事会ではよくあることです。この場合には、以下のような例文を参考にしてみてください。
【頭語】
拝啓
【前文】結婚挨拶・顔合わせ食事会のお時間をいただいたことへのお礼
先日はご多用にもかかわらず、貴重な時間をいただき、ありがとうございました。
【本文】感謝や今後について、自分の気持ちを表現
緊張してしまい、思うようにお話することができませんでしたが、お二人のあたたかい人柄に触れさせていただき、楽しい時間を過ごすことができました。
未熟者の私ではございますが、〇〇さんに相応しいパートナーになれるよう、精進して参ります。
【末文】改めてお礼
今後とも、ご指導をいただくことが多いと思いますが、どうぞよろしくお願い申し上げます。末筆ながら、お父様、お母様のご健康とご多幸をお祈りいたします。
【結語】
敬具
署名・日付
令和○年 ○月○日
自分の署名
相手のご両親の名前
・結婚挨拶で難色を示された場合の例文
結婚に難色を示されてしまうこともあるでしょう。そんな時でも、お礼状を送って少しでも印象をよくしておくと、ご両親の心境も少しずつ変わっていくかもしれません。
【頭語】
拝啓
【前文】結婚挨拶のお時間をいただいたことへのお礼
先日は貴重なお時間を頂戴し、ありがとうございました。
【本文】感謝や今後について、自分の気持ちを表現
お話を伺いまして、至らないところばかりだと痛感しております。〇〇さんのパートナーとしてご両親に安心していただくために精進して参りますので、ご指導ご鞭撻のほど、よろしくお願い申し上げます。
【末文】改めてお礼
また近いうちにご挨拶をさせていただければと存じます。まずはお礼を申し上げます。ありがとうございました。
【結語】
敬具
署名・日付
令和○年 ○月○日
自分の署名
相手のご両親の名前
・LINEやメールでお礼を伝える時の例文
LINEやメールの場合、頭語や結語は使わなくてよいでしょう。堅苦しくないお礼状の例文のように、丁寧な言葉遣いに気をつけながら、素直な気持ちを伝えてみてください。
先日は貴重なお時間をいただきまして、ありがとうございました。
お父さん、お母さんのあたたかいお人柄を感じながら、とても楽しい時間を過ごすことができました。また、私たちの結婚をお許しいただいたこと、改めて感謝申し上げます。
今後ともご指導のほど、どうぞよろしくお願いいたします。
自分の名前
■お礼状を出すタイミングや、封筒の選び方など、気をつけることは?
・お礼状を出すタイミング
お礼状は、結婚挨拶や顔合わせ食事会の2~3日後には投函できるよう準備しておくとよいでしょう。相手の実家が遠方であっても、1週間以内には届くよう手配しましょう。
住所の確認や封筒選びなど、いろいろと手間がかかりますので、挨拶前に少し準備をしておくと安心です。LINEやメールの場合は、手軽に送ることができるので、当日か翌日の午前中までに送るようにしましょう。
・封筒や便箋の選び方
お礼状はハガキではなく封書で出しましょう。基本的に、目上の人に出すお礼状は、便箋に書いて、封筒で出すのがマナーです。相手のご両親が堅苦しいことを好まないタイプの場合は、便箋の代わりに絵葉書に書いて、角封筒に入れて送るのもいいでしょう。
お礼状の封筒は白で無地の長型4号、二重になっているか、厚手で中が透けないものを選びましょう。茶封筒は、事務的な文書に使うものなのでNGです。
便箋はB5サイズで白無地、縦書きのものを選びましょう。無地だと字が綺麗に書けないという人は線が入ったものでも問題ありません。基本的には、色や柄付きの便箋は避けるのが無難ですが、なかには色柄つきの便箋を使いたい人もいるでしょう。その場合は、色や柄がささやかで、上品なデザインを選ぶようにしてください。
・手書きはマスト。使うべき筆記用具は?
結婚挨拶・顔合わせ食事会後のお礼状の基本は、「手書き・縦書き」です。親交がある場合は横書きでもいいですが、必ず手書きにしましょう。
筆記用具は礼儀を重んじるご両親の場合は、毛筆や筆ペン、万年筆をおすすめします。そこまで気にしないご両親であれば、ボールペンでもいいでしょう。
・封筒の宛名の書き方
封筒の表面には、右上に郵便番号と住所を書き、中央に大きく、相手方の両親の名前を書きましょう。両親の名前の高さは揃えると良いです。
裏面には、左下に自分の郵便番号、住所、氏名を忘れずに書いてください。
・お礼状に書くのはお礼のみ
お礼状に書くのは、「結婚挨拶のお礼と、今後もよろしくお願いいたします」という内容のみです。ほかに伝えたいことがある場合でも、お礼状の中には書かずに、別途伝えるほうがよいでしょう。
また、「追伸」と書くのも、お礼状の場合は適切ではありません。
■番外編:顔合わせ後、親から親に宛てて贈る場合
両家顔合わせ食事会の後、親から相手の両親に「感謝の気持ちや結婚を嬉しく思っていることを伝えたい」という人もいるでしょう。以下の構成や例文を参考にしてみてください。
【頭語】
拝啓
【前文】顔合わせ食事会のお時間をいただいたことへのお礼
先日はご多用のなか、両家顔合わせ食事会のために、お時間を割いていただきありがとうございました。
【本文】感謝や今後について、自分の気持ちを表現
この度、〇〇さんとはもちろん、ご両親とも良いご縁に恵まれたことを大変ありがたく存じております。
△△(息子もしくは娘の名前)は至らぬ点も多々あると思いますが、ご指導のほどよろしくお願いいたします。
これからは親戚として、末永く仲良くお付き合いいただければ幸いです。
【末文】改めてお礼
まずはお礼を申し上げたく、お便りいたしました。結婚式でまたお会いできることを楽しみにしております。
【結語】
敬具
署名・日付
令和○年 ○月○日
自分の署名
相手のご両親の名前
・娘の結婚に対して心から安心している場合の例文
先日は、お忙しいなか、遠方よりお越しいただき、ありがとうございました。
娘の△△共々、○○家の皆さまと家族になれるというご縁に恵まれたこと、とても嬉しく思っています。
娘は、言葉足らず、世間知らずなところがあり、親としてはいつまでも心配が尽きません。でも、○○さん(彼)の妻、○○家の娘として、あたたかく迎え入れていただき、娘が心から幸せそうにしている様子を見て、「安心して送り出せる」とホッとしているところです。
本当にありがとうございます。
まだまだ至らないところの多い娘ですが、ご指導のほど、どうぞよろしくお願いいたします。
私ども両親も、○○家の皆さまとは家族ぐるみのお付き合いをさせていただきたく、末永くよろしくお願いいたします。
また、結婚式でお目にかかれますこと、楽しみにしております。
■基本を抑える+あなたらしい言葉=ベストなお礼状
今回は、結婚挨拶・顔合わせ食事会後のお礼状の基本的なマナーと例文をご紹介しました。
ご紹介した例文をそのまま使うだけでも、ご両親にお礼の気持ちは伝わりますが、結婚挨拶時のエピソードや素直な気持ちを綴るなど、あなたらしいアレンジを加えると、ご両親もより嬉しく感じてくれるはずです。
ご両親といい関係を築いていくためにも、お礼状でしっかりと感謝の気持ちを伝えておきましょう。
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記事監修:Yoshiko(おもてなしパートナーズ)