■ 華奢見えシルエットの正絹か、約半額でおトクなポリエステルか
白無垢の素材は、絹100%の織物「正絹」とポリエステルの大きく2つに分かれ、レンタル料金は、正絹がポリエステルの約2倍程度と高級です。
正絹の魅力は大きく2つ。1つは、体のラインにフィットする自然な落ち感で、シルエットを華奢に見せてくれます。もう1つは、軽くて着心地が良いこと。最高級の素材で快適に過ごすことができれば、自然と明るく晴れやかな表情も出てくるのではないでしょうか。
一方のポリエステルは、手頃な値段やその扱いやすさから長く愛されてきた素材である反面、漂白したような不自然な白さがあり、着古したスーツのようなテカリが出やすいといった欠点が、かつてはありました。ところが近年の技術的な発達や、日本のメーカーが国内生産に移行したことによって、ここ数年は和装のバイヤーでさえ見分けがつかないことくらい、そのクオリティは上がってきています。
2人だけのフォトウェディングなどであれば、ポリエステルでも十分写真映えします。
■ 王道スタイルの古典柄か、コーディネートの幅が広がるモダン柄か
鶴・松・梅・檜扇(ひおうぎ)・御所車(ごしょぐるま)など、日本独特のモチーフがあしらわれた「古典柄」は和の花嫁の王道スタイル。神社など日本らしい場所との相性が良いことに加え、世代を問わず好感を持たれるデザインです。
「大正ロマン」のようなレトロな雰囲気を備えた「モダン柄」は、たとえば和の花をモチーフにしていたとしても、柄が大ぶりといった特徴があります。金糸や銀糸を使った刺繍など、色味のあるデザインも多く、色のある小物を合わせやすいなど、コーディネートの幅も広がります。
■ 半襟や小物などにこだわってコーディネートを楽しむ
白無垢と聞いて、まず思い浮かぶのは、小物などもすべて白一色でまとめる純白のコーディネート。花嫁だけに許された特別な装いです。身も心もまっさらな状態で神様の前に立つという意識も強まるため、神社挙式にぴったりです。
とくに、年配者には「白無垢は真っ白でなくちゃ」と思う人も少なくないので、祖父母や年配の親戚などを多く招待する結婚式や「晴れ姿をいちばん見せたいのはおばあちゃん」という場合、純白コーディネートがおすすめです。
だからといって、どれも同じというわけではありません。同じ白でも刺繍や地紋など、柄によって印象は変わるし、合わせる小物も刺繍の入った半襟を選んだり、掛下(下に着る振袖)の柄にこだわったりして、コーディネートを楽しむこともできます。
最近、インスタなどで目を引くのは、赤や黄緑など白無垢に差し色を入れるコーディネート。古民家などレトロモダンな式場にも溶け込むスタイルです。
金糸の刺繍が入った白無垢に金色の小物を合わせる、ヘアードレスの色と小物の色を合わせるといったおしゃれも華やかな印象で素敵です。なかには、掛下に赤や黄緑などの振袖を着て、挙式後の会食では白無垢を脱いで振袖姿で過ごすというお色直しのスタイルでコーディネートのバリエーションを楽しんでいる人もいます。
■ 白無垢に合う髪型はかつら?洋髪?
日本髪は元々、日本人の顔立ちに合う髪型なので、だいたいの人には似合うようにできていると言います。和装店での試着時に「かつらは似合わない」と言っていても、きちんとサイズの合うかつらを着けてみると、意外に「悪くないかも」と思う花嫁は少なくありません。
京都・東京で着物レンタルを手掛ける 丹庵(たんあん) では、半数以上がかつらを選んでいるとのこと。特に京都店は近隣の由緒ある神社での挙式を予定している花嫁も多く「せっかくなら、思う存分、和の雰囲気を堪能したい」といった心理も働いているようです。
洋髪はモダンな印象を与えることに加え、花やヘッドドレスなど自由にアレンジを楽しめるのもポイントの1つ。たとえば、挙式ではかつらで伝統的なスタイル、会食では洋髪にチェンジして、ヘアスタイルやヘッドドレスの色味に合わせて小物も付け替えれば、同じ白無垢でもガラリと印象を変えることができます。
■ 白無垢衣装のコーディネート5例
-地紋や刺繍の陰影をコーディネートの主役に
平安時代より貴族に愛されたといわれる「立湧に菊菱(たてわくにきくびし)」柄の白無垢。すとんと落ちるシルエットが、体型を華奢に見せ、奥ゆかしい楚々とした花嫁を演出してくれます。その佇まいは、神社挙式はもちろん、老舗の料亭やレストランなどにもぴったりです。
昭和初期から受け継がれるアンティーク着物で、柔らかい生成り色は、年月を重ねてきた正絹ならではの風合い。たとえば、刺繍の入った半襟、綿帽子が生み出す絶妙な陰影など、立体感をコーディネートの主役にするのもおススメ。あえて色を入れないことで、日本女性ならではの美しい黒髪と口紅の赤が引き立ちます。
綿帽子がかわいらしい印象になるのに対し、角隠しは凛とした印象に。長身の花嫁なら角隠しを合わせてスタイリッシュにまとめるのも素敵です。
-刺繍作家によるアーティスティックな白無垢
刺繍作家・高澤恵美さんとコラボレーションした個性的な白無垢。高澤さんがイメージした想像上の花が、繊細な刺繍で大胆にあしらわれています。
白無垢の下に合わせたのは、端正な印象を与える「紗綾形模様」の掛下。武家に好まれた柄を組み合わせることで凛とした雰囲気が強まります。
白無垢の刺繍、掛下の地紋(織物の模様)、半襟の刺繍など、幾つもの柄を組み合わせて遊ぶ上級コーディネートもおススメ。懐剣にあしらったコサージュは、思い出の品としてプレゼントしています。白無垢の刺繍とお揃いのヘアードレスもオーダー可能です。
-金糸の刺繍と赤い小物で写真映え
金糸・銀糸を使った刺繍が華やかな白無垢は、写真映えを重視する人やお色直しをしないケースにおススメ。挙式と会食でヘアスタイルのみ変える場合、かんざしやヘッドドレスのカラーに合わせて小物を着け替えるイメージチェンジも人気です。
金糸や銀糸などの色が入った白無垢は、写真映えもするのでフォトウェディングでもニーズの高いデザインです。
-鶴の白無垢に綿帽子の王道スタイル
古典的な鶴の柄が入った白無垢に小物もすべて純白で統一、そこに綿帽子を合わせるコーディネートは、特に神社挙式におススメ。「日本の花嫁」を象徴するようなコーディネートは、同じく日本を代表する神社の景観との相性も抜群です。
また、白無垢には「過去の自分と決別して新しい自分になる」という意味もあるので、小物もすべて白で統一することで、より強く「新たな人生の門出を迎えている」という意識を持って挙式に望むことができるのではないでしょうか。
挙式後の会食などでは、小物を赤や緑など好きな色に変えてイメージチェンジすることもできます。
-最高峰の刺繍にゴールド小物で華やかに
全体に立体感のある最高級の相良刺繍が入った白無垢は、着物好きなお母さん、ご祖母さんなどにも喜ばれる花嫁衣裳です。絵画の点描のように繊細で細やかな職人技が光る相良刺繍、袖口や「ふき」と呼ばれる裾、裏地全体にあたる「胴裏」に赤い差し色の入った豪華なデザインはお色直しするのがもったいないほど。柄は御所車や鶴、松など典型的な古典柄で、とくに、年配のゲストが多い結婚式におすすめです。