■ 規約通りに約束する必要はないフェアな契約のためにきちんと確認・主張
キャンセル料、禁止事項、持ち込みの制限などが書かれた「結婚式規約」は、契約書にサインする直前、ウェディングプランナーと一緒に読み合わせしながらチェックしていきます。
「申込金はクレジットカード払い可能」「結婚式の費用は現金払いのみ」などわかりづらい項目もあるので、マーカーを引いたり、大事な情報は書き込んでおくなど、後々見返しても思い出しやすいようにしておきましょう。
後々のトラブルを避けるためにも、規約にはよく目を通し、気になる点や納得いかない箇所があればどんどん交渉してみましょう。内容次第でカップル側に有利な条件を引き出すこともできます。
面倒くさくて規約の内容まではきちんと確認しないという人もいますが、きちんと確認、主張して、フェアな契約を結びましょう。
ではここから、
・規約に書かれている主な内容
・特に確認・主張すべき項目と交渉術
の順で解説していきます。
■ 規約の主な内容トラブルになりやすい項目に関する注意書き
「規約」は、後々、トラブルになりやすい項目に関する注意書きのようなもの。
その代表例がキャンセル料や持ち込み料ですが、それ以外にもお金に関することや式場側で禁止している行為などが書かれています。具体的には以下のとおり。
1. 契約成立の条件
契約時に支払う申込金の金額、キャンセルした場合の申込金の払い戻し方法など。
2. 支払い方法や追加料金など、お金に関する内容
結婚式費用の支払い期日や支払い方法。結婚式当日、パーティ時間が伸びた場合の延長料金のルール、ゲスト人数が確定する日やその日以降の人数変更に関する取り扱いルールなど。
3. 禁止事項、器物破損に対する損害賠償など
ペット同伴不可など、その式場で禁止している行為。式場の床・壁やインテリアなどを破損した場合の損害賠償金など。
4. 解約した場合のキャンセル規定
解約や日程変更が生じた場合のキャンセル料。結婚式当日までの日数によって変動する。
5. 持ち込みに関する規定
「お客様による手配」と表現されていることが多い。平たく言うと、ドレスやプロカメラマンなど結婚式に必要なサービス・アイテムは、式場の提携先から選ぶのが原則で、自分で手配することは認められないものや制限がかかるものがあるという。
■ 特に確認・主張すべき項目と交渉術
-契約時に支払う申込金-払い戻し不可なはずの10万円を取り戻す裏ワザ
申込金の額は5万~20万円ですが、ポピュラーなのは10万円。契約成立に必要なお金と決められている場合、その場で契約するつもりはなかったという場合でも、契約したいと思えば支払わなければなりません。後々「やっぱりほかの式場も見てみたい」などと契約撤回しても、戻ってこないルールになっていることがあるので注意が必要です。
契約して申込金を支払ったあとで、別の式場を見つけてとても気に入ってしまうこともあります。そういった場合、まずは元の式場に相談してみましょう。契約日から日が経っていなければ返金してくれる場合もあります。それも難しいようなら、新しく見つけた式場に相談してみるのもひとつの手。式場によっては、「見積り金額から支払い済みの申込金の分を引いてくれた」といった例もあるようです。
式場選びは慎重にすすめつつ、申込金を支払ったあとでキャンセルしたい場合は、最初から「返ってこない」と諦めてしまわずに、ダメ元で交渉してみてはいかがでしょうか?
-キャンセル規定-それって「お客様都合」?「不可抗力」?
キャンセル料は結婚式当日までの残日数が少なくなるにつれて高くなっていきます。規約には「120日前」「30日前」などと書かれていますが、2人の結婚式予定日から逆算して具体的な日付を書き込んでおくと勘違いを防げます。
契約を決めた時点では、キャンセルすることなど考えにくいものですが、日程変更も含めると、誰にでもその可能性はあるもの。
たとえば、コロナが原因で式を延期せざるをえなくなったにもかかわらず、式場からキャンセル料の支払いを求められたら、規約を再度チェックしてみましょう。「お客様都合による場合」と書かれていれば、コロナなどの天災は「不可抗力」として、規定には該当しない可能性があります。
こうしたケースの代表例を以下に紹介してみます。
・台風やコロナなどの天災
台風などの自然災害で交通機関がマヒし、ほとんどのゲストが列席できなくなったり、コロナで外出が制限されたりして、結婚式を延期・中止せざるを得なくなるというのは、お客様の責任ではありません。
この場合、「お客様都合ではない」と強く主張し、「最新の見積り金額の80%」といったキャンセル規定ではなく、発送済の招待状など、既にかかってしまった実費のみの清算にしてもらうなど交渉しましょう。
・打ち合わせ開始後の急激な値上がり
式場との打ち合わせが開始するのは、結婚式の4~6ヵ月前ですが、1、2回の打ち合わせで、見積り書の金額が100万、200万円単位で上がっていくと「一体いくらまで跳ね上がるんだろう」と不安になることがあります。
見積金額が妥当かどうか、不安な場合は、最新の見積りを持ってほかの式場に相談に行くという手もあります。場合によっては、同等の内容でキャンセル料分を補えるような見積りを提示される、というケースもあるようです。
新たに見学した式場に、そのまま切り替えてもいいし、契約中の式場に別の式場でもらった見積りを見せて再交渉するなど、選択肢を広げることもできますよね。
・日程変更
実は、台風やコロナのような天災以外でも日程変更せざるを得なくなることはあります。
たとえば、
✓ 式場契約後に妊娠していることがわかった
✓ 絶対に列席してほしいゲストの都合が悪かった
などなど。
キャンセル料と同じルールが適用される式場もあれば、キャンセル料の20%程度まで引き下げている式場もあるので、確認しておきましょう。
妊娠していることがわかった場合などは、当初の予定よりも早めることが一般的。たとえば、1年後の予定を3ヵ月後に早めるといった場合、販売できる確率の低い日程にスライドしてもらえるという考え方から追加料金なしで変更してもらえることもあるようです。
-持ち込み規定-契約時点で持ち込む可能性があることを主張しよう
規約には「お客様による手配について」と表現されていることが多い項目。
簡単にいえば、お客様が自分で手配できなかったり、持ち込み料がかかるなど制限されているアイテムやサービスが書かれています。
後々、トラブルになりやすい項目のひとつではありますが、式場やウェディングプランナーは自社の提携先で選んでもらうことを前提にしているので、口頭で簡単な確認をするだけで済ませてしまい、持ち込みたい場合に交渉の余地があるのか、その場合、料金はいくらかかるのかといった説明を省略されてしまうケースもあるようです。
式場と契約する時点では、着たいドレスやお願いしたいカメラマンなど決まっていないことがほとんどだと思いますが、この時点では以下、2つの確認を忘れないようにしましょう。
① 「素敵なものが見つかったら持ち込みたい」という意思表示
② 各アイテム・サービスにかかる持ち込み料の確認
より望ましいのは「ドレスは着たいものが決まっている」など、持ち込みたいアイテムを具体的に伝えること。「このドレスが着られないなら契約できない」ときちんと主張すれば、式場側は契約が欲しいので持ち込み料の免除や割引など、柔軟に対応してくれる場合もあります。
式場との契約後、打ち合わせが始まってからでは聞き入れてもらえないこともあるので注意が必要です。
-まとめ-尻込みせずに質問や交渉をしよう
規約の確認において重要なのは面倒くさがらず、万一のリスクを想定し、当事者意識を持って望むこと、式場から提示されるルールを無条件に受け入れないこと。
説明を聞いていて「こんな場合はどうなるんだろう?」「それはおかしい」など、疑問や納得いかない内容が出てきたら、尻込みせずに質問したり交渉したりしましょう。