「貯金なし」カップルが節約生活で380万円を貯金!2年半かけて叶えた憧れの結婚式
2021.03.15 2021.08.24
もし、2人の貯金がゼロだったら結婚式を挙げますか?それとも諦めますか?
最近では「新生活をスタートしたばかりでお金の余裕がない2人が、無理をして式を挙げる必要はない」といった考え方も広まっています。確かに新生活をはじめるにはなにかとお金がかかるもの。結婚式にかかるお金を新生活に充てるという考え方もあるでしょう。
でも、一生に一度の結婚式だからこそ、たくさんのゲストに集まってもらい、きちんと報告したいというのもまた自然な気持ちです。たとえお金がなくても、がんばって貯金したり節約して挙げた結婚式は、きっとかけがえのない思い出になることでしょう。苦労したぶん、2人の絆もきっと深まるはずです。ウェディングプランナーのmayuさんが担当した「貯金なしカップル」が力を合わせ、2年半かけて夢の結婚式を挙げたエピソードを紹介します。
■ 「貯金なしカップル」が結婚式を見学した結果・・・
ウェディングプランナーのmayuさんが担当したのは、元々、結婚式を挙げる予定はなかったという30代半ばのとあるカップル。「一度くらい結婚式場を見学してみたい」という軽い気持ちで式場を訪れました。
どうせ見るだけなら、ということで訪れたのは、都内でも有名な、緑豊かなガーデンや自然光のふりそそぐチャペルが魅力の式場。その豪華さに少々尻込みしながらも、新婦はチャペルに感動し、新郎も「結婚式は親孝行のためにもするべきだよなぁ」と少しずつ考え方が変わってきました。実際に式場を見ることで、ゲストが喜ぶ姿やウェディングドレスを着る新婦の姿を具体的にイメージできたようです。
夢見心地だった2人が現実に引き戻されたのは、見学が終わり「ゲスト70名で380万円」という見積りが提示されたとき。予想を大きく超える額に驚き、「こんなに素敵な会場で挙げられたらどんなに幸せかと思うけど、そこまでのお金はありません・・・」とすっかり意気消沈してしまいました。mayuさんは、提示した見積り額がどの程度オーバーしているのか質問してみると・・・。
実はこのとき、2人の貯金額はほぼゼロでした。付き合いはじめた当初、実家の青果店を継いだばかりだった新郎が経済的に安定するのを待ち、約9年の交際期間を経て結婚したという2人は、現在でも外食や旅行といった「贅沢」は極力控え、日々の楽しみと言えば、1日の終わりに飲む缶ビール1本という、つつましい生活を送っているということでした。
■ 極端すぎ? 2人が実践した節約生活とは
見積り額を聞いてすっかり諦めムードになってしまった2人でしたが、次第に「苦労してきたぶん、少し背伸びしてでも一生の思い出に残るような華やかな結婚式を挙げたい」「これまでまわりの人たちに支えられてきたので、素敵な式場でおもてなしをしたい」という思いが強くなっていったようです。mayuさんとの話し合いのなかでも「支払い方法は現金払いですか?」「不要な演出を減らすことはできますか?」と、実現するための具体的な方法を積極的に考えるようになりました。
一方、mayuさんはウェディングプランナーとして異例の対応をします。2人にとって最初のハードルは申込金の10万円でしたが、この支払い期限を2ヵ月後まで延長。結婚式費用の支払いは結婚式当日、集まったご祝儀で支払えるようにするなど、お金に関する不安を、極力取り除くよう取り計らいました。
こうして当面の支払いの心配が減った2人が、結婚式費用を貯めるために実践したのは・・・徹底的な「節約生活」でした。
2人が実践した節約はこんな感じ。
・ランチは毎日、日の丸弁当
・缶ビールは毎日1本から週1本に減らす
・おつまみは駄菓子を箱買いして1ヵ月に1箱
・移動はできるだけ徒歩か自転車
・美容院へ通うのはやめる
これなら2人で1ヵ月あたり5万円の貯金が可能です。ゲスト70名分のご祝儀が集まることを考え、約2年半で最低限、必要な380万円を用意できるという計算。節約内容が少々極端ではないかと心配するmayuさんに、2人は「これまでも苦労してきたので、意外と続けられそうです」とニッコリ。
この徹底した節約生活を続けること、実に2年4ヵ月。ときに励まし合い、ときにケンカもし、2人はついに目標額の貯金を達成しました。
■ 苦労を乗り越えて実現した感動の結婚式のサプライズは・・・?
こうして迎えた結婚式当日。
料理は最もリーズナブルなコース、演出も控えめで、この式場での結婚式としてはミニマムなもの。それでも2人にとっては苦労してようやく実現したかけがえのない一大イベントです。新郎も新婦も、そして会場のゲストも感動と嬉しさで涙が止まらない様子でした。
なかでもmayuさんが忘れられないというのが、新郎が新婦にサプライズで花束をプレゼントしたシーン。実はこの花束、新郎が毎月の貯金とは別に、隠れて貯めた「へそくり」で用意したものだったんです。
それは3万円ほどの、結婚式では決してめずらしくないボリュームの花束。でも2人にとっては2年4ヵ月もの時間をかけて用意した、特別な花束です。ひざまずく新郎から手渡され、涙を流し、新郎の目を見て何度もうなずく花嫁。
苦労してきた事情を知っているゲストからは自然と大きな拍手が湧き起こりました。
mayuさんには、言葉にならないほどの幸せで満たされているように見えたと言います。
結婚式から1ヵ月後、2人はmayuさんを訪ね、こう言います。
「毎日、日の丸弁当で頑張って夢のような結婚式を迎えられました!結婚式を挙げなかったら、ただ生活のためだけにやりくりする毎日だったと思います。正直、苦しいと思ったこともあったけど、両親やゲストは今でも『本当によかった』と言ってくれるんです。結婚式という目標があったから、2人で頑張れた。この節約生活チャレンジはこの先絶対に忘れません」
新郎新婦にとっては結婚式当日だけでなく、それまでの準備期間をどう過ごすのかも大切だと改めて気づかされたというmayuさん。「料理や装花、衣装などをグレードアップして、最初の見積りから大幅に上がるというケースがほとんどですが、ミニマムだったとしても、結婚式は、新郎新婦、家族やゲストにとって、忘れられない思い出になるということを、改めて確信しました」
今回紹介した新郎新婦にとって節約生活は夢を叶えるための共同作業として、より絆を深める時間となったようです。2人で協力し、時間をかけてつくりあげた結婚式は、より大きな意味を持ったのではないでしょうか。