フォトブーススタイルのメイン装飾
イメージの湧きやすいブーケに好みを集約
結婚式を彩るフラワーは、ブーケと会場装花の大きく2つに分けられますが、デザインやテイストなどトータルコーディネートにもこだわりたいところです。では、どのようにして統一感を出せばよいのでしょうか。年間4000組のウェディングフラワーを手掛けるジェック(東京都港区)のトップデザイナー、高柳寿々乃さんからのアドバイスやこれまでに手掛けたブーケ・会場装花の事例を引きながら、プロのアイデアやデザイン力を紹介します。
結婚式は花を贅沢に使える貴重な1日
「ウェディングフラワーは、ブーケのデザインから決めて、そのデザインを元にゲストテーブルやメインテーブルをコーディネートしていくのがおススメです」こう語るのは、年間4000組のウェディングフラワーを手掛けるジェックに所属するトップデザイナー、高柳寿々乃さん。高柳さんは、結婚式は一生に一度、贅沢に花を使える貴重な日なので、お客様の好みを最優先にデザインしたいと言いますが、一般的にはフラワーデザインを明確にイメージできる人はさほど多くありません。ブーケ・ゲストテーブル・メインテーブルの中でも、一般的なお客様がイメージしやすいのはブーケなので、そこを軸にコーディネートしていくというのが、高柳さんのセオリーです。
ここからは、高柳さんが手掛けたウェディングフラワーの事例を見ながら、ブーケを軸としたパーティー会場のトータルコーディネートを紹介します。
結婚式は10月でパーティーのテーマは「お月見」。まさに、テーマを象徴するブーケになりました。
これは、高柳さんが得意とする「スタイリッシュ×和」の象徴的な事例とも言えます。使う花材の色を1~2色に絞ることでシンプルにまとめる他、先に紹介したメインテーブル・ゲストテーブルでも使用したオンシジウムやシンビジウムなど、1つの茎にいくつもの花が連なる花材を使うのも、よく高柳さんが提案するスタイルの1つ。バラなどの一輪咲きよりも動きが出やすく、ダイナミックな印象を与えることができると言います。和風のアレンジメントでは、丸みのあるコロンとした花材が使われがちですが、流れを出しにくいため、特に直線的で男性的な会場には、動きの出やすい花材がおススメだと言います。

それが、小柄でかわいらしい新婦のリクエストでした。インスタグラムなどで様々なブーケの画像を参考にする中でも、かわいらしい印象になりがちなボールブーケは避けたいとのことです。
高柳さんの第一印象では、小花を使ったブーケのアイデアが浮かんでいましたが、180度方針転換。結婚式を行う秋に充実する「枝もの」を束ねたクラッチブーケを提案しました。新婦が選んでいたゴールド地に赤い柄の入った色打掛に合わせて、ブーケの色味は赤。秋に旬を迎える「実もの」やダリアでまとめました。
メインテーブルとゲストテーブルはブーケにも入れたダリアを主軸にコーディネート。ゲストテーブルの花器は、一般的な縦長の花瓶ではなく「丼」をセレクトし、ゲストにインパクトを与える工夫をしました。
メインテーブルの後ろには、新婦側だけに植栽を置きました。新郎側の壁紙に描かれた鳳凰の柄を活かし、新婦側の花や植物に重みを持たせてバランスを取りました。
ダズンローズ+小花で花嫁の愛らしさを強調
『CaseStudy 3』の新婦がお色直しで着たウェディングドレスに合わせたのは、赤いバラをブルーファンタジアやポポラス、ワックスフラワーなどの小花で彩った、本来の新婦のイメージに近いブーケ。2人のリクエストだった「ダズンローズ」の演出を絡めています。「ダズンローズ」とは新郎がゲスト席から12本のバラを集めて新婦にプレゼントする演出。そのバラの花束をケーキ入刀のタイミングで、5分程度で素早くブーケにアレンジしました。
ウェディングドレスは、かわいらしい雰囲気のAライン。和装のスタイリッシュな印象から「ガラッとイメージチェンジしましょう」と提案したそうです。
「事前にデッサンを描いてお渡しすることもありますが、当日まで実物をご覧いただけないのがウェディングフラワーです。それを「不安」ではなく「楽しみ」と感じていただけるよう、花だけでなく花器の組み合わせも含め、工夫を凝らしています」(高柳さん)