■結婚式のお車代・お礼の違いは?
・結婚式のお車代とは
お車代は遠方からゲストを招いた際に発生する交通費や宿泊費のことを指し、新幹線や飛行機などを使って出席してくれるゲストに渡します。友人はもちろんのこと、親族であってもお車代を渡すのがマナーです。
また、祝辞を述べてくれた主賓と乾杯の挨拶をしてくれたゲストへのお礼もお車代として渡す慣習があります。これには遠方でなくても交通費は負担するという意味があり、交通費とお礼を合わせて一定額渡しましょう。
・結婚式のお礼とは
結婚式のお礼は、式中や準備の手伝いをしてくれた人へ感謝の印として渡すもので、「返礼品」を贈ったり「お金」を渡します。金額はどのような役割を担当してもらったかによって変わってきます。
結婚式で多い準備や手伝いといえば「受付」「スピーチ」「余興」などで、これらは3,000〜5,000円ほどの現金を渡すのが一般的です。このほか「司会」や「写真撮影」など、本来ならプロに依頼するような役割をお願いする場合は、お礼の相場も上がります。
■ 「お車代」の相場と渡し方について
ここでは、お車代の渡し方や金額の目安、注意点についてご紹介します。
・遠方ゲストのお車代は半額負担か全額負担が一般的
手段や距離によってかかる交通費が異なるため、ゲストから交通手段や宿泊予定施設を聞き、目安費用を把握しておきましょう。交通費が往復で5,000円以上かかったり、交通費と宿泊費を合わせて2万円以上になるようであれば、お車代を渡すのがよいでしょう。
渡す金額は「交通費と宿泊費、半額ずつ負担する」または「交通費も宿泊費も全額負担する」のが一般的です。ゲストとの関係性を考えながら負担にならない金額に決めてください。親族の場合、交通費と宿泊費をこちらが全額負担するかどうかはケースバイケースです。ほかのお付き合いで行き来が多いならお互い様と考え、それぞれの負担にしても構いません。
・全額負担する場合の交通チケットや宿泊予約
遠方ゲストの交通費を全額負担する場合、移動手段や出発日時などの希望をゲストに聞いて、新郎新婦が交通チケットや宿泊の手配を済ませておくとスムーズです。飛行機や新幹線の予約や支払いを事前に済ませ、ゲストにチケットを郵送するとよいでしょう。ゲストのお車代を新郎新婦が負担するかどうか、招待状を送る前に知らせておくと、より丁寧です。
・お車代の渡し方
お車代は、受付時に受付もしくは招待した側の親から渡すのが一般的です。「披露宴が終わってから渡そう」と思っていても、ゲストがすぐに帰ってしまうと渡しそびれてしまいます。「誰にいつ、お車代を渡す」かをあらかじめ決めておくとよいでしょう。
ゲストによって渡す金額が異なる場合もあるため、どれを誰に渡すのか、ゲスト名簿に書きこんでおくなど、受付を担当する人が渡し間違えないように伝え方を工夫しましょう。
相手が親族の場合、ほかのゲストよりも早く会場に集まるため、受付でなく両親にお願いします。結婚式前に親族顔合わせや親族紹介をするタイミングで渡してもらうとよいでしょう。
■「お礼」の相場と渡し方について
お礼の相場や渡すタイミングは役割によって異なります。下の表で役割りごとの相場と渡し方をご紹介するので、参考にしてください。
・お礼の渡し方
お礼を渡すタイミングは、「式当日に役割が終わってから」が一般的です。披露宴が始まる前やお色直しの歓談中に両親から渡す場合もあります。新郎新婦は、当日は忙しく、直接お礼を渡す時間を取れないため、受付や親など「代理人」にお願いして渡してもらうようにしましょう。防犯上、金銭を預かれないルールを設けていることが多いという理由から、式場のスタッフには頼めないことがほとんどです。
タイミングがなく渡せなかった場合は、披露宴終了後、できるだけ早く渡すようにしましょう。ゲストとの間柄によっては、お礼として後日、食事の場を設けるケースもあります。学生時代から家族ぐるみの付き合いをしている友人や年齢の近い親せきなどであれば、結婚式の話で盛り上がったり、改めて絆を実感できる場となり、今後の関係性にもプラスになるかもしれませんね。
・主賓、乾杯の挨拶をしてくれたゲストの相場
主賓や乾杯の挨拶をしてくれたゲストには、受付後に依頼した側の親からお車代を渡します。金額は1万円以上が基本ですが、目上の人へは2、3万円ほど渡すことでより感謝の気持ちを伝えることができます。また、遠方のゲストに主賓や乾杯の挨拶をお願いする場合は、実費交通費が1万円以下であっても1万円以上をお車代として渡します。
■ お車代・お礼を入れる封筒は金額に応じて使い分ける
お車代やお礼を入れる封筒は、金額に応じて使い分けるのが基本です。ここでは、金額別に使用する封筒の種類や注意点をご紹介します。
・1万円以下は「ポチ袋」
3,000〜5,000円など1万円以下の場合は、お年玉に使用するサイズのポチ袋を用意します。ポチ袋を利用するのは「心ばかりですが」という意味合いがあるだけでなく、ご祝儀袋と異なりサイズが小さいため、相手へ気を遣わせることも少なくなります。お札の向きを揃えて3つ折りにして入れます。
・1万円前後は「水引が印刷されたご祝儀袋」
1万円前後の場合は、水引がプリントされたご祝儀袋に入れます。新札を用意し、お札に印刷してある人の絵が「袋の上側」になるように入れましょう。
・2万円以上は「水引がついたご祝儀袋」
2万円以上の金額を渡す場合は、水引がプリントされたご祝儀袋ではなく「大きめの結び切りの水引」がついている祝儀袋を用意します。プリントされた水引とは異なり、中身にふさわしい雰囲気を演出してくれます。
・渡すときに気をつけたいこと
封筒デザインの違いでゲストによって明らかに金額に差があることがわかると、お互いに気まずくなってしまう場合もあります。もし、渡すタイミングの問題でそういったことが予想される場合は、すべて同じ封筒に揃えても問題はありません。「水引」や「御礼」の文字が印刷されていない封筒を使用してもよいでしょう。封筒は華やかでお祝い事らしいデザインを選ぶようにしてください。
・お札の入れ方は?
お札を入れる向きは、封筒正面からお札を取り出した際「お札の人物が真っ先に見える」ように入れましょう。
また、ご祝儀袋の裏の折り返し部分は、必ず「下側を上にする」ように折りたたみます。結婚などのお祝いにおいて「上を向く」という意味があるためです。反対に、お葬式など不祝儀の席では折り返し部分が下になるように折りたたみます。
・贈る相手ごとの注意点
お車代の相場は、あくまでも「距離や宿泊の有無」によって決めるようにしましょう。「親友だから」といって金額に差をつけてしまうと、後々ゲスト同士でお車代の話が出たときにトラブルになってしまう可能性もあります。
返礼品は役割りや立場によって金額を変えるのが一般的ですが、お車代に関しては「公平さ」を意識して金額設定することが大切です。
ただし、上司は元々『来賓』としての意味合いもあるため、金額を多めにするとよいでしょう。上司であれば、ご祝儀も多めに包んでくれていることが多いので、金額を多めにすることで釣り合いが取れます。
■ 封筒への書き方は?
お礼やお車代を入れる封筒ですが、中面や表にはなにを書けばいいのでしょうか。ここでは、お礼やお車代として使える表書きや、使用するペンや具体的な書き方についてご紹介します。
・表書きの書き方
手渡した際に目に入る表書きには、「御車代」「御車料」と書き、その下に新郎新婦の苗字を書きます。「右側に新郎苗字」「左側に新婦苗字(旧姓)」を書くのが一般的です。もし、結婚式当日ではなく後日に渡す場合は、新姓だけを書きます。
ただし、地域によっては名前の記入が不必要とされているところもあるため、地域性に習うことも大切です。最近は初めから「御車代」「御礼」「寿」などと印字されている封筒もあるため、文字を書くことが得意でない場合は利用するのもよいでしょう。
・中面は無地のまま
1万円以上渡す場合は水引のご祝儀袋を利用しますが、多くの場合は「無地の中袋」が入っています。ご祝儀の場合は中袋に金額や名前を記入しますが、お車代はお祝い金ではなく、お礼という意味合いのため、金額は記入せずに渡します。
・毛筆や筆ペンがよいが、ポチ袋は印刷でもOK
封筒に表書きや苗字を書く際は、ボールペンやサインペンではなく「毛筆」や「筆ペン」を使用するのがマナーです。「手書きに自信がない」という場合は、自宅のプリンタで手軽に印刷できるテンプレートなどを使用するのもおすすめ。また、ポチ袋の場合は印字されたものでも構いません。
・相手の名前は書かない
お車代の封筒の表面には、相手の名前は書きません。お車代はすべてのゲストに渡すわけではないので、他のゲストの目に触れない方がよいからです。
そのため、誰に渡していいのかわからなくなってしまう恐れがあります。ゲストによってお車代が異なる場合は付箋などを利用して渡す相手を間違えないようにしましょう。もちろん、ゲストへ渡す際は付箋を外して失礼のないように気を配ってください。
付箋のほか、上の図(左)のように封筒の裏にカラーマーカーやペンで目立たないように印を付けておく方法もあります。これなら付箋が剥がれてわからなくなるという心配もありません。受付担当者に受け渡しをお願いする場合は、どの印の封筒を誰に渡すのか、ゲスト名簿に書きこんでおくと、渡し間違いが防止できます。
■ お車代の有無についての伝え方を例文で紹介
飛行機や新幹線を使うゲストには、お車代の有無について電話やLINEで事前に伝えておきましょう。出席にともなう経費がわかるので、気持ちに余裕をもって参加してもらえます。
以下に伝え方の例文を紹介するので参考にしてください。
・交通費を全額負担する場合
「宿泊費や交通費は、私共で全額負担させていただこうと考えております。ぜひお越しください」
・交通費を半額負担する場合
「宿泊費や交通費は、ゲストの皆様に一律で3万円をお渡ししようと考えております。
本来ならば全額ご用意するべきところを大変恐縮ですが、ご出席いただけますと嬉しく思います」
・交通費を負担できないが来てほしい場合
「宿泊費や交通費をご用意することができず、心苦しいのですが、よろしければぜひご出席いただければと思います」
■ ベストな感謝の伝え方は相手との関係性で変わる
「お車代」と「お礼」、いずれもいちばん重要なことは、感謝の気持ちを伝えること。ここでは一般的に失礼のない方法をお伝えしましたが、ベストな方法は、ふたりと相手の関係性によって異なります。一般的なマナーはあくまでも参考です。渡す相手の顔を一人ひとり思い浮かべながら、感謝が伝わる方法を考えましょう。
監修:Yoshiko(おもてなしパートナーズ)