■ 大事なのは「どう飾るか」よりも、「どんな気持ちでお出迎えしたいか」
ウェルカムスペースは、式場に足を運んでくれたゲストを最初にお出迎えする場所。ゲストの多くは挙式の約30分前に到着し、15分前ぐらいにチャペルなどに案内されるので、そのあいだ15分ほどが待ち時間となります。
ゲストはそのあいだ「受付周辺などゲストの待ち合いスペース」「廊下などの通路」
「式場の入口」「親族控室」でそれぞれ過ごすことになりますが、そういった場所がウェルカムスペースとなります。
Instagramに挙がっているウェルカムスペースの投稿を見ると、ふたりの写真や趣味のグッズ、おしゃれなアイテムを飾る場所という印象を持ちがちですが、そもそもの目的は別にあります。演出する場合は以下を念頭に置いて考えてみましょう。
①ふたりの結婚式会場の目印になる
②ウェルカムドリンク&フードでおもてなし
③フォトスポットを用意して撮影を楽しんでもらう
④「あったらいいな」グッズで細やかな気配りを
⑤思い出の品や写真でゲスト同士の会話を盛り上げる
■ 人気のウェルカムスペース演出方法5選
では、具体的にどんな演出方法があるのかを紹介していきます。
①ふたりの結婚式会場の目印になる
ふたりの名前が書かれたボードや大きく引き伸ばされたふたりの写真などを飾ることで、結婚式の場所を知らせるサインになります。以下のようなアイテムや、ふたりらしさが伝わる写真を飾ることで、自分の友人や親せきがどんな人と結婚するのかを伝えることもできます。
・ウェルカムボード
いまや定番となっているウェルカムボード。写真、イラスト、お花付き、アクリル製、刺繍タイプ、タペストリータイプなど、さまざまな種類があります。前撮り写真を大きく印刷したり、イラストなどが得意な友人や親族に頼んで作ってもらうケースもあります。
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ウェディングプランナーkanakoさん 「目印として飾るなら大きく目立ちそうなボード、温かみのある雰囲気にしたいならイラストが描かれたボードなど、飾る場所や結婚式のテーマ、雰囲気に合わせて用意しましょう。ふたりの結婚式の目印としての役割だけでなく、ゲストを歓迎する気持ちも表すことができますよ」
・ラブストーリーボード
ラブストーリーボードとは、初めて会った日、付き合いはじめた日、プロポーズ、入籍日、挙式日などの思い出の日付を書いたもの。待ち時間のあいだに、これまでのふたりの歩みをゲストに知ってもらうことができます。
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ウェディングプランナーkanakoさん 「写真のラブストーリーボードは、思い出の日付をハンドレタリングで書いてもらえる商品です。無料でテンプレートをダウンロードできるサイトもあるので、額縁を用意すれば手作りもできますよ。」
・ふたりらしさが伝わるゆかりの品
ゲストもよく知るような、ふたりの共通の趣味に関するアイテム、出会うきっかけになったものを飾る人もいます。写真の猫のワインスタンドに抱えられているワインは、交際をスタートした年の記念ワインだそうです。お酒や猫など、ふたりの趣味や好きなものを連想するゲストもいるかもしれません。
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ウェディングプランナーkanakoさん 「たとえば音楽サークルで出会った新郎新婦なら、楽器やふたりで演奏した楽譜を飾るなど、ふたりが重ねてきた年月が感じ取れるものがおすすめです。ただし、アイテムによっては式場の雰囲気を壊してしまうこともあるので注意が必要です。歴史ある格式高い式場に、ふたりが応援しているスポーツチームのユニフォームや、家に飾っているぬいぐるみなどを置くと、式場の雰囲気とのあいだにギャップが生まれてしまいます。思い出の品が会場の雰囲気に合うか心配な方は、プランナーに相談してみてください」
②ウェルカムドリンク&フードでおもてなし
ウェルカムドリンクとしては、ビールなどのアルコールが好まれる傾向がありますが、そのあとに控えている挙式のことを考え、メニューをソフトドリンクや、アルコール度数が低いカクテルなどにしておくことをおすすめします。
ウェルカムフードは、受付をお昼時の少し前・少しあとといった小腹が空く時間帯に行う結婚式のおもてなしには、とくにおすすめ。ひと口サイズのスイーツや、チーズ、ハムなどを串に刺したピンチョスなど、食べやすいものを選びましょう。
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ウェディングプランナーkanakoさん 「ウェルカムドリンク&フードはゲストにもっとも喜ばれるウェルカムスペースのアイデアだと思います。とくに早めに集合する親族や遠方からのゲスト、お子様ゲストへのおもてなしにはぴったりです。そのほかのゲストにも楽しんでほしい場合は、招待状にドリンクやフードを用意していることをひと言添えておくと、早めに到着して久しぶりに会う友人などと会話を楽しんでもらえます。
ウェルカムドリンクやフードは、オプション注文できる式場とできない式場があります。もし、注文できない式場で提供したい場合は、持ち込みが可能かどうか、あらかじめプランナーに相談しておきましょう。」
③フォトスポットで撮影を楽しんでもらう
久しぶりに友人や親せきに会えば、記念写真を撮りたくなりますよね。写真映えするようなフォトスポットを用意しておけば、待ち時間の撮影タイムをより一層盛り上げることができます。
・非日常感のあるフォトブース
プロのフローリストにデザインしてもらって飾り付ければ、非日常感のある美しいフォトブースを用意することができます。
なかには、
・バルーン
・キャンドル
・フェアリーライト
・チュール
・ガーランド
などのアイテムを自分で購入したりDIYしたりする人もいます。その場合も、色や飾るものによって印象が変わるので、式場の雰囲気や結婚式のテーマに合うよう、フローリストなどに相談してみてください。
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ウェディングプランナーkanakoさん 「広めのウェルカムスペースなら、椅子やソファを置くとより本格的なフォトスペースになります。式場の雰囲気に馴染むこだわりのインテリアを持ち込む方もいますが、持ち込む場合は前日に搬入するなどのルールを設けているケースもあるので、確認が必要です。式場にある椅子やソファを借りられることもあるので、相談してみましょう」
・フォトプロップス
メガネやリボン、ひげ、リップ、ティアラ、帽子、吹き出しなどのモチーフがスティックに付いたフォトプロップスは、持つだけで楽しげな写真を撮ることができるアイテム。撮影グッズとしてウェルカムスペースに置けば、楽しい時間を過ごしてもらえるのではないでしょうか。
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ウェディングプランナーkanakoさん 「画用紙やストローで手作りすることもでき、無料で素材をダウンロードできるサイトもあります。コストを抑えたい方は「フォトプロップス 素材」などと検索してみてください。」
・インスタントカメラ
チェキやポラロイドカメラなど、撮った写真をその場で現像できるタイプのインスタントカメラで撮った写真を、ウェディングツリーやガーランドに飾り付けるという演出。ゲスト参加型で楽しめたり、装飾アイテムとしての役割も果たしてくれることから人気があります。
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ウェディングプランナーkanakoさん 「受付などを担当する2、3人の友人ゲストにカメラ係をお願いして、ゲスト全員を撮ってもらうのがおすすめです。」
④「あったらいいな」グッズで細やかな気配りを
消毒のためのアルコールスプレーやお化粧直しに役立つあぶらとり紙など、「今ちょうど欲しかった!」と思われるようなグッズは、ゲストに重宝されるだけでなく、「気が利いてる」とふたりに対する評価も高まるでしょう。
・ウェルカムギフト
ゲストへ「来てくれてありがとう」という気持ちを込めて用意するウェルカムギフトも、テーブルに並べるだけでサマになるようなデザイン性の高いものが最近のトレンド。また、アルコールスプレーや除菌シートなどの衛生用品も人気です。イラストや新郎新婦の名前をプリントしたシールを貼ってオリジナルデザインにすることもできます。
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ウェディングプランナーkanakoさん 「ゲストに重宝されるアイテムとしては、トートバッグもおすすめ。とくに小さめのバッグを持ってくる女性ゲストにとっては、席次表やプチギフトなどの手荷物が増えたときに『気が利いてる』と喜ばれます」
・アメニティグッズ
化粧室には、身だしなみを整えることができるアメニティグッズを置いてみるのもおすすめです。参列への感謝とアメニティを自由に使ってほしいというメッセージも添えておきましょう。
おすすめのアイテムは以下のとおり。
・マウスウォッシュ
・あぶらとり紙
・綿棒
・絆創膏
・ストッキング
・ヘアピン
・ヘアスタイリング剤
・サニタリー用品
・ほこり取り
・ハンドクリーム
・消臭スプレー
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ウェディングプランナーkanakoさん 「手を洗ったあとにつけるハンドクリームやお化粧直しに使うパフなど、普段持ち歩いているけど、バッグが小さくて置いてきたというようなアイテムを並べておけば、“気配り上手"と、ふたりに対する評価が上がりそうです。夏は制汗剤や汗拭きシート、冬はカイロなど、季節に合ったアイテムもいいですね」
⑤思い出の品や写真でゲスト同士の会話を盛り上げる
ゲストと共有できるような思い出の品や写真を飾ると、ゲスト同士で昔話に花を咲かせることができたり、ふたりとの絆を実感してもらうことができます。
とくに親族ゲストは挙式の前に行う親族紹介のために早めに集まるので、待ち時間が30分前後と長め。思い出の品や写真は、そのあいだの会話のネタとしてぴったりです。
・ゲストとの思い出の写真や幼いころのアルバム
ゲストと新郎新婦が写っている写真を飾ると、思い出を振り返ったり懐かしい気持ちになってもらうことができます。
親族ゲスト用の控え室には、ふたりが幼い頃のアルバムや小中学校の卒業アルバムなどもぴったりです。両親や祖父母、幼い頃にかわいがってくれた親せきなどは、当時を懐かしんだり、ふたりの成長を実感したりして、喜んでくれるでしょう。
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ウェディングプランナーkanakoさん 「ご両親の結婚写真もおすすめです。祖父母や叔父・叔母などは両親の結婚からふたりの誕生から成長といった家族の歴史を感じてくれるでしょう。スマホなどに保存している写真データを使いたい場合、自宅やコンビニで印刷するほか、プリント業者に頼めば大きく引き伸ばしてもらうこともできます。写真は写真立てに入れたり、壁に貼ったり、ツリーにかけたり、花や植物で飾ったガーランド状にしたりと、様々な飾り方ができます。結婚式のテーマや式場の雰囲気に合わせて、飾り方を工夫してみてください」
・ウォールレター
ゲスト一人ひとりに宛てた手紙を壁やボードに貼り付けておき、本人に受け取ってもらうウォールレター。それぞれとの思い出や日頃はなかなか口にできないメッセージを綴ることで、ゲストに新郎新婦との絆を実感してもらうことができます。
壁に直接手紙を貼ることができない式場の場合、写真のようなボードを用意しましょう。木製ボードのほか、発泡スチレン素材やアクリル素材の板もあり、ホームセンターやインターネットで揃います。
>>「ウォールレターの演出が大好評!「ウェディングテーマ」を決めて成功した卒花の体験談」
・思い出の品
親族控え室には、幼い頃に祖父がプレゼントしてくれた絵本、叔母に教えてもらった編み物など、ゲストにとっても思い入れがあったり、懐かしく思うような思い出の品を置いてみると、会話が弾むきっかけになるのではないでしょうか。
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ウェディングプランナーkanakoさん 「おじいちゃんにもらったお気に入りの絵本。お母さんが毎晩のように読み聞かせしてくれました。ありがとう」など、ひと言添えておくとより想いが伝わるでしょう。」
■ 準備する前に押さえておきたい注意点
Instagramで見た卒花嫁さんのアイデアをそのまま真似しても、自分たちのケースには当てはまらないことも……準備を始める前に押さえておきたい注意点を紹介します。
①ウェルカムスペースの広さや雰囲気
用意したアイテムを自宅のテーブルに並べて素敵に見えても、式場の大きなテーブルにはスケールが合わずにさびしげな印象になってしまうこともあります。装飾アイテムなどは、ウェルカムスペースの場所や広さや雰囲気を確認したうえで用意しましょう。
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ウェディングプランナーkanakoさん 「たとえばクラシックなつくりの親族控室にポップすぎるアイテムを置いたら、せっかくの良い雰囲気が台無しになってしまいます。なにか用意する場合は会場に合わせたものを選ぶことが大事です。また、化粧室などの共用スペースには私物の持ち込みを許可していない式場もあるので、せっかく準備したものが無駄にならないよう、事前に確認しておきましょう」
②飾り付け方の指示書を用意しておく
ウェルカムスペースの飾り付けは、基本的に当日式場スタッフが行うので、用意したアイテムを置く位置や組み合わせなどにこだわりがある場合は、写真や文章を入れた指示書を用意しておくと安心です。ただし、当日の状況によっては、指示書通りにいかない可能性もあることを心得ておきましょう。
③飾り付けはマストではない
「ウェルカムスペース=飾り付けが必要」というイメージを持っている人もいますが、ゲストがウェルカムスペースで過ごす時間は15分~30分程度。必ずしも「しなくてはいけないこと」というわけではありません。
式場は、壁や床、その他のインテリアなど、非日常感を演出する工夫が十分になされています。そのため「ふたりの写真や飾り付けを見てもらうよりも、久しぶりに会ったゲスト同士で、存分に会話を楽しんでもらおう」という考え方もできます。
ウェルカムスペースに装飾アイテムを一切置かなかった先輩カップルのレポート記事も、チェックしてみてください。
>>キラキラ演出はいらない! 理想の“引き算結婚式"を挙げた夫婦が「それでも残したこと」
■ まとめ
ウェルカムスペースは飾りつける場所ではなく、ゲストをお出迎えする場所です。ゲストの顔ぶれや、ふたりが伝えたい思いなどを考えたうえで、ベストなスタイルを探してみてください。
「上に挙げた5つのなかには、写真や品物を飾り付ける方法も多くありますが、式場によっては自由に物を置けないこともあるので要注意。たとえば、ホテルなどは廊下や化粧室などの共用スペースは貸し切りできないケースも多いので確認しておきましょう。
ウェルカムスペースの目的は“華やかに飾る"ことではなく、“どんなお出迎えしたいか"という気持ちを表すこと。参列するゲストの顔ぶれを考えて、ぴったりの方法を探してみてください」