結婚式にはやりたくてもできないことがある。契約前に確認すべきポイントをプロが解説
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結婚式準備

結婚式にはやりたくてもできないことがある。契約前に確認すべきポイントをプロが解説

2024.02.20 2024.02.23

目次

  1. やりたいことを「できない」と否定される理由
  2. 「できません」と言われがちな演出
  3. 卒花嫁の体験談①:人前式は「できない」のオンパレード
  4. 卒花嫁の体験談②:用意していた小物が持ち込みNG?
  5. 後から「持ち込みNG」で困らないための対策
  6. 「やりたいこと」は想像以上に制限を受ける

やりたいことを「できない」と否定される理由

結婚式 パーティ会場
「こんな演出がしたい!」はすべて叶うと限らない

どんな結婚式を挙げようかというアイデアは、結婚式場を決めた後に考えようと思う人が多いのではないでしょうか。
でも、打ち合わせがスタートしたタイミングで「こんな演出がしたい」「こういうアイテムを持ち込みたい」とリクエストしても、すべて叶うとは限りません。

理由は式場の広さやスペースなど物理的なものや、次の結婚式との兼ね合いによる時間的なものなど様々です。

CORDYウェディングプランナー reina
CORDYウェディングプランナー reina

「式場としては、完全に不可能ということ以外に、リスクがあることについてもNGとしているケースがあります。リスクとは、建物が傷つく、次に控えている結婚式のスケジュールが遅れる、お客様の持ち物を傷つけるなど。契約前に、ふたりのやりたいことが叶うかどうか、譲れないポイントだけでも確認したうえでできると理想的ですね」

ここからは、後になって「できない」と分かる、よくある事例を紹介します。
当日の3ヵ月前になって、やりたいと思っていたことが実はできないという壁にぶつかった、卒花嫁のM.Mさんの体験談も含めて、参考にしてみてください。

「できません」と言われがちな演出

・ファーストミート

ファーストミート
場所や時間帯によってはNGということも

初めて、花嫁姿を彼や家族に見せるファーストミート。Instagramなどでは、チャペルでふたりきりの時間を過ごしている様子も、よく見かけますが、結婚式を挙げる時間帯によっては、ゆっくり時間を取れなかったり、チャペルを使えないケースも。
前後に別の結婚式が控えている場合、前のカップルが挙式中だったり、次のカップルがリハーサル中だったりするためです。

ふたりだけのファーストミートならブライズルーム、家族を交えたファミリーミートなら親族控室など、時間的な制約を受けない場所であれば、比較的自由です。

CORDYウェディングプランナー reina
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「チャペルを使うことを前提に、ファーストミート自体をNGとしているケースも考えられるので、セレモニーができればいいという場合は、「場所にはこだわらない」と伝えてみましょう。
チャペルなどロケーションにこだわりがある場合は、希望が叶う時間帯に挙式の時間を組み込んでもらうなど、早めに相談しましょう」

・生花のフラワーシャワー

結婚式 フラワーシャワー
フラワーシャワー用の花びらはネットショップでも買える

挙式のフィナーレに行われるフラワーシャワーは、式場によっては生花NGというケースもあります。
理由は、床に植物の色素が付着して汚れるため。植物の色素は取れにくいという特徴があります。ゲストの靴などに花びらが付いたまま移動すると、そこらじゅうにシミが付くリスクがあります。

フラワーシャワーにかかる料金が高額だと感じる人は、造花であれば認められるかもしれないので交渉してみてはいかがでしょうか。

CORDYウェディングプランナー reina
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「フラワーシャワーの持ち込み料は、ゲスト人数×200~300円程度が一般的だと思います。ゲスト数60名なら1万2000~3000円。
フラワーシャワー用の花びらは、Amazonなどのネットショップでも1000円前後で購入できるので、持ち込み料を払っても割安になるかもしれません」

・リングガールなど子どもゲストを巻き込む演出

結婚式 リングガール リングボーイ
幼い子どもは予定通りに動いてくれない

リングガール(ボーイ)、ベールガール(ボーイ)など、幼い子どもゲストを巻き込む演出は、「3歳以上」「保護者のサポートが必須」「挙式と披露宴、それぞれ1ヵ所にしてください」など制限がかかる可能性があります。幼い子どもは、寝たり、泣いて役割を果たせなかったり、予定通りに動いてくれず、スケジュールが押してしまうリスクが高いためです。

CORDYウェディングプランナー reina
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「幼いお子さんがリングを運んでくれたり、新婦の後ろを付いてきてくれたり、かわいらしい写真を撮りたいと思っても、お子さんの母親も付き添っているなど、イメージと違う結果になる可能性があります」

・ブライズメイド&アッシャー

結婚式 ブライズメイド
「役割」を教える時間が取れないことも

ブライズメイド&アッシャーも人数制限などの可能性があります。
ブライズメイド&アッシャーは、日本の場合、ブーケやグローブを預かったり、ベールやトレーンを直すなど、介添え人の代わりのような役割をすることが大半。
そのため、式直前にレクチャーをする時間が必要になり、人数が多すぎると時間が足りないリスクがあります。

・全員集合写真

結婚式 集合写真
ゲスト全員が整列できるスペースがない場合も

少し高い場所から俯瞰で撮影した集合写真なども、よく見かけますが必ず撮れるとは限りません。
一般的に集合写真を撮るタイミングは、挙式直後ですが、後に別の結婚式が控えていたり、そもそも60、70名が整列できるスペースがない場合は、親族のみなど全員との集合写真は叶わないこともあります。

・友人の楽器演奏

結婚式 楽器演奏
傷つけたり壊したりするリスクがある

基本的に、楽器は傷つけたり壊したりするリスクがあるため、可能なら避けたいという考えの式場もあります。

とくに、ドラムやコントラバスなどサイズの大きい楽器は、預かるスペースがなかったり、出入口を通らないといった理由で持ち込めない可能性もあります。
また、エレキギターなどアンプにつなぐ楽器は、つながったかどうかなどを事前に確認する時間が取れないためNGという可能性もあります。

・ケーキのオリジナルデザイン

ウェディングケーキ
オリジナルデザインできないことも(photo by@sk_1218_wd)

Instagramなどでは、おしゃれなデザインのウェディングケーキがたくさん投稿されていますが、パティシエが在籍していない式場では、対応できるデザインの幅が限られていることがあります。

その場合、持ち込みを検討したいと考える人もいるでしょう。でも、ケーキは食品なので衛生管理上、NGと言われる可能性が高いです。
写真映えするケーキにこだわりがある場合は、式場契約時点で確認しておくと安心です。

卒花嫁の体験談①:人前式は「できない」のオンパレード

結婚式 人前式
ゲストを巻き込むセレモニーはほぼNG・・・

卒花嫁のM.Mさんが人前式を選んだのは、結婚の誓いを神様ではなく、今までお世話になったゲストに承認してほしいと考えたから。そのため、ゲスト参加型演出を取り入れて、全員に「ふたりの誓いに立ち合っている」という感覚で臨んでほしいと思いました。

打ち合わせがスタートし、まずMさんが提案したのはダーズンローズのセレモニー。新郎がゲストから一輪ずつ花を受け取って、その花を新婦に渡してプロポーズするという演出です。
担当プランナーからは「時間がかかりすぎるのでNG」との返事。

次に提案したのはリングリレー。ゲストに長いリボンを持ってもらい、リボンに通した指輪を後方から順に祭壇の新郎新婦まで運んでもらう演出ですが、「ゲストに説明する時間を取れない」と却下。

次にバルーンリリースの演出を提案。これも「風船が屋根に上がって取れなくなったことがあるので・・・」とNGでした。

家族や親族を巻き込む演出はOK。ジャケットセレモニーでは新郎の母だけでなく、姉にシワを伸ばしてもらい、兄にグローブを渡す役目をお願いしました。
新婦側は、母にベールダウン、父にバージンロードのエスコート、姪にベールガールなどの役目をお願いしました。

卒花嫁 M.Mさん
卒花嫁 M.Mさん

「家族や親族にはお願いする役目の意味などを書いたリクエストカードを渡したので、それぞれに思い入れを持って臨んでもらえたと思います。
でも、他のゲストに参加してもらうアイデアが全て実現できなかったことには、ガッカリしました」

卒花嫁の体験談②:用意していた小物が持ち込みNG?

結婚式 リストブーケ
メールでは「OK」という返事だったのに・・・

卒花嫁のMさんはお色直しにカラードレスも検討しましたが、ラインナップを見るとかわいらしいデザインが多く自分には似合わないと感じました。そこで、ウェディングドレスにサッシュベルトとリストブーケを付けるアレンジでイメージチェンジすることに。

サッシュベルトなどの小物は、ピンタレストで見つけたアーティフィシャルフラワーの雑貨店でオーダーメイドしました。サッシュベルトにはリストブーケとお揃いのアーティフィシャルフラワーがデザインされています。
この時点で担当プランナーには「ドレスをアレンジする小物を持ち込みたい」とメールで確認し、了承も得ていました。

ところが、後になって「ドレスに付ける小物は持ち込みを認めていない。(プランナーは)小物も提携のドレスショップで借りると認識していたので、齟齬があった」と言われてしまいます。
ドレスに付ける小物の持ち込みがNGな理由を尋ねると「飾りが引っかかったりしてドレスの生地を傷める可能性があるから」とのこと。
Mさんとしては、式場契約時の規約説明の時に「生花は持ち込みNGだけど造花ならOKと言われていたのに・・・」と思いましたが、「ブーケとドレス小物は別。契約時は、ドレスの小物については、質問された場合だけ説明するルールだ」と言われました。

卒花嫁 M.Mさん
卒花嫁 M.Mさん

「最終的には、用意した小物がドレスを傷めないかどうかチェックしたうえで『今回は特例です』と認めてもらえたのですが、持ち込みできないと言われた時には『もう買ってあるのに・・・』と困ってしまいましたね」

後から「持ち込みNG」で困らないための対策

結婚式 アイテムリスト
全アイテムの持ち込み可否を確認するのは難しい

契約時点の持ち込みに関する説明は「衣裳・装花・カメラマン・司会者などは持ち込みを認めていません」など、ざっくりしています。
その時点で、持ち込みたいアイテムなどが明確になっている人は少ないため、具体的なアイテムについて細かく確認するのは、かなり難しいことです。

そこで、おすすめしたいのは最初の見積もりが提示された時に「この中で省くことのできるものは?」と質問すること。
さらに「省くことのできるもの、この中に書かれていないものは持ち込みOKということですか?」と確認しましょう。
持ち込む場合、持ち込み料がいくらかかるのかなども併せて確認しておくと、後々、予算のやり繰りもしやすくなります。

進行演出も同じ要領。
結婚式当日の進行について、フォーマットのようなものを持っている式場も多いので、それを見せてもらいながら「この中で外してもいいプログラムは?」などと聞いてみましょう。外してもいいプログラムの枠が自由に使える時間だと考えられます。

「やりたいこと」は想像以上に制限を受ける

結婚式 花嫁
契約前に理想の結婚式をイメージしておこう

卒花嫁のM.Mさんは、式場見学の段階から、誰を招待するか、招待したゲストにどう過ごしてほしいかなど、ある程度イメージしておけば良かったと言います。

卒花嫁 M.Mさん
卒花嫁 M.Mさん

「結婚式の準備が本格化するまでは色々なアイデアを提案してもらえると期待していたのですが、私の場合はやりたいことに対して『できません』と否定されることの方が多く、少し残念でした。

式場見学の時点で、少しでも結婚式のイメージが浮かんでいてやりたいと思っていることが叶うかどうか確認できれば、後からガッカリしたり焦ったりすることは少なかったのかなと思います」

招待するゲストを書き出しておくことは重要ですが、それでも結婚式は初めてという人が大半であることを考えると、式場見学の時点で具体的に当日をイメージすることは、難しいでしょう。

CORDYウェディングプランナー reina
CORDYウェディングプランナー reina

「最初はこだわりがないというお客様でも、知識が増えていくにつれてやりたいことが溢れてくるケースが大半です。そのため、おふたりの結婚式のイメージが整ってから、相応しい式場を選ぶというステップを踏めば、後になって『できません』と否定されることもないでしょう。

イメージが固まる前に式場を選ぶ場合、最大限に理想を叶えるには、できるだけ早い段階でその式場の条件やルールを把握することが重要です」