プロカメラマンが伝授
結婚式当日の後悔しない写真写りのコツ
2020.11.11 2020.11.11
こだわり抜いて選んだウェディングドレス、納得いくまでリハーサルしたヘアメイクなど理想の花嫁姿を追求したのに、後々、結婚式当日のスナップアルバムが仕上がってきたら写真写りが悪くてがっかりなんて想像するだけでも悲しくなりますよね。そんな悲劇を起こさないように、どんなことに気を付ければよいのか、プロカメラマンにアドバイスを聞きました。
■ 前撮りは「作品」、結婚式当日は「ドキュメンタリー」
結婚式当日撮影の醍醐味は、後で見返しても、その場の雰囲気が鮮明によみがえってくるようなドキュメンタリータッチの写真。前撮りや後撮りなどは写真を撮ることが主目的なので、構図やポージング、表情なども作りこんで、2人がなりたい理想のウェディングフォトを残せるのが魅力ですが、当日撮影はその場の空気感を記録することが重要なため、被写体の表情、その場の出来事やムードなどを収めることがポイントとなります。
そのため、結婚式当日撮影において、新郎新婦が最も意識すべきは自然体で過ごすこと。カメラを意識しすぎると表情も動作も不自然になってしまうので注意が必要です。
細かくリクエストしすぎると逆効果
中には、どのシーンをどの角度から撮ってほしいなど、カメラマンへのリクエストをまとめた「指示書」を用意するカップルも少なくありませんが、カメラを意識して不自然になりがちだったり、逆に貴重なシーンを撮り逃す恐れもあるのでおススメできません。
結婚式当日は、普段なら絶対涙を見せない父親の男泣き、祖母の嬉しそうな笑顔、滅多に会わないゲスト同士の交流など、その瞬間を迎えるまで何が起こるか分かりません。そんなシーンを逃さず収めることが、当日スナップ撮影の重要なポイントなのに、何をどのように撮るかなど、事前に細かく決め過ぎると、カメラマンがその場のドラマチックな出来事にフォーカスする余裕がなくなってしまうのです。また、「本当はこっちの角度からの方が素敵に撮れるのに・・・」といったプロのカメラマンの機転も取り入れにくくなってしまいます。
花嫁が最も意識すべきは上品な所作
美しい写真を残すために花嫁が意識すべきは上品な所作。どんな花嫁にも共通して欠かせないのは上品さです。姿勢・仕草・手元の動きなど、細かいところまで気配りすることで、美しい写真を残せるだけでなく、ゲストの記憶にも素敵な花嫁のイメージを残すことができるのではないでしょうか。
ここからは、3人のプロカメラマンに聞いた具体的なアドバイスを紹介します。
✓ 二重アゴを避けるには?
「アゴを引こう」と意識すると引きすぎて二重アゴになる恐れがあります。自然にアゴを引くコツは姿勢。左右の肩甲骨を中央に寄せるようにして胸を開くと、アゴの位置だけでなく背筋も伸びて姿勢も美しく整います。
✓ 二の腕の細見え対策
二の腕は体にくっつくと横に広がって太く見えてしまうので、体から離すようにしましょう。胸を開いて姿勢を正し、ブーケをおへその辺りで持つようにすると、自ずと二の腕が体から離れて細く見せられます。
✓ 左右、撮られたい方はどっち?
左側と右側、どちらの方が好きな横顔でしょうか?カメラマンに好きな方を伝えておくと、意識して撮影してくれます。また、ヘアアクセサリーや前髪の流し方なども左右、好きな方が映えるようにセットしてもらえるよう、美容師さんにも伝えておきましょう。
✓ 押さえておきたい「振り向きバックショット」
挙式前、館内での撮影タイムが用意されている場合は、振り向きバックショットもおススメのポーズです。女性が最も美しく見えるポーズの1つであることに加え、ドレスのラインも美しく写ります。
<教えてくれた人>
井関ほの香さん(所属:act phohtography/東京都)
-プロフィール-
兄の結婚式を撮影してくれたカメラマンとの出会いをきっかけにカメラマンを志す。
結婚式当日の撮影においては、後で見返しても、その時の感情までも思い出せるような、年月が経つにつれ、重みが増していく写真を意識している。
✓ 品よく腕を組む方法
特に、挙式中は新婦父や新郎と腕を組むシーンが多いですが、上品に見せるポイントは相手の腕に手のひらを添える程度にすること。腕を絡ませるような組み方は、野暮ったくなってしまいます。
✓ 「蹴るように」歩くにも限度がある
ドレス姿で歩く時、「蹴るように」とアドバイスされがちですが、行き過ぎると「ロボット歩き」のように見えたり、ガサツな印象を与えてしまうので要注意。リハーサルなどで上品さを保つコツを掴みましょう。
✓ キスシーンは丁寧に
ウェディングキスの場所に頬を選ぶカップルは多いですが、この場合、新婦の顔が隠れないようにゲスト側でない方を選びましょう。また、両手を真横に伸ばして「気をつけ」のような姿勢になってしまう新婦もいますが、おへその辺りに重ねて置くのが自然です。
✓ キスの直後はシャッターチャンス
はにかんだように微笑む、感動して泣くなど、ウェディングキスの直後に新婦が浮かべる表情には、その2人の幸せの形が凝縮されています。できるだけカメラを意識せずに自然体で感情表現するのが素敵ショットの最大のポイントです。
✓ 乾杯のグラスは正面に上げよう
披露宴の幕開けを飾る乾杯のシーン。グラスを持った手の側に上げてしまうと、新郎・新婦の顔がグラスで隠れてしまうこともあるので、できるだけ正面に上げるようにしましょう。
<教えてくれた人>
山崎淳さん(ウェディングフォトグラファーJUN)
-プロフィール-
東京を中心に全国100ヶ所以上のホテル、教会、ゲストハウス、レストラン等の結婚式会場で、10年以上フリーのウェディング専門のカメラマンとして活動している。様々な会場の様々な時間帯やライティング、演出、進行の中での経験をもとに、独自の撮影スタイルを提案している。
✓ 斜めの立ち姿でスタイル良く
特に挙式中など新郎と並んで立つことが多いですが、その時、新郎の側を向いて斜めに立ち、目線だけ正面に送りましょう。斜めに立つことで細見え効果があることに加え、ドレスのラインも美しく写ります。余裕があれば、カメラ側の肩を落とすように意識するとしなやかに見えます。肩は緊張すると上がりがちなので、意識して肩の力を抜くようにしましょう。
✓ お辞儀はしない?
お辞儀というと腰を折るのが一般的ですが、花嫁のお辞儀は例外。ひざを曲げて目線を落とす程度の方がエレガントに映ります。
✓ 女優さんのような手元は角度がポイント
左手を差し出す時は手首に右手を受け皿のように添え、手首を少し自分の側に折るように角度を付けると美しい手元を演出できます。
✓ 退場時はゲストの目を見て感謝を伝える
挙式後の退場はゲストの方へ目を向けて「ありがとうございます」と言いながら、ゆっくりと歩きましょう。恥ずかしがって目線が下がる人もいますが、写真にキレイに写るためだけでなく、せっかくお祝いに駆けつけてくれたゲストに対してきちんと感謝の気持ちを伝える意識が重要です。
✓ ブーケを持つ手も女性らしく柔らかく
ブーケの持ち手もぎゅっと握りしめるより、両手を重ねるようにふんわり持ちましょう。持ち手に両手の親指を引っかけておけば、その他の指は柔らかく重ねるだけでも落とすことはありません。
<教えてくれた人>
鈴木亜弥子さん(ELEPHANT&CASTLE digital photo artisan 提携:フォトエクボ/神奈川県)
-プロフィール-
東京・神奈川を拠点にウェディング撮影を手掛ける。2001年よりフォトスタジオで写真技術を学び、広告会社でのデザイン制作のキャリアも経験。結婚式当日の撮影においては、新郎新婦だけでなく、ゲストの様子にもフォーカスし、後々、ゲストがどんな風に楽しんでくれていたかも見返せるような写真を心掛けている。
-まとめ-自然な表情はカメラマンとの関係性に比例する
カメラを意識しすぎず自然体で過ごせたり、「指示書」を渡さなくても安心して任せられるようにするには、カメラマンへの信頼が不可欠です。事前に打ち合わせをして、カメラマンとの信頼関係を築いておきましょう。
打ち合わせでは、インスタなどでチェックしておいたウェディングフォトを見せて好きな写真のテイストを伝えると、当日も2人の好みを意識して撮影に臨んでもらえます。また、ゲストの人間関係なども伝えておくと、たとえば、仲違いしていたゲスト同士が会話している様子など、奇跡的なシーンも逃さず収めてもらえたりします。
カメラに自然な表情を向けられるかどうかは、カメラマンとの関係性に比例すると言っても過言ではありません。事前の打ち合わせだけでなく、前撮りなども依頼して接点を増やしておくと、結婚式当日もリラックスしてカメラに笑顔を向けることができるのではないでしょうか。
