■マーメイドドレスの特徴はヒップラインと広がる裾
くびれたウエストにふっくらしたヒップライン、膝下から裾にかけて広がったフレア。スカートのヒップ下に入れられている絞りによって、裾までのフレアが強調され、マーメイドドレスのシルエットはまさに人魚のようです。腰からヒップ下にかけての曲線は成熟した女性だからこそ出せるもの。大人の装いを目指す花嫁には、この上なく心強い存在となります。
マーメイドドレス専門店「メリーマリー」の代表・山本良浩さんによると「女性らしい曲線を生かすデザインですから、意外とどんな方にもしっくりくるんですよ」とのこと。マーメイドドレスは、絞りの強弱に加え、絞り位置(高さ)、使用生地、デザインによってさまざまなイメージを実現できたり、体型の悩みにも応えてくれる優秀なドレスなんです。
■お手本は海外の花嫁たち。スタイリッシュさに憧れる人が続出!
マーメイドドレスの人気が高まっている理由のひとつにSNSの流行が挙げられます。以前は海外の雑誌でしか見られなかった欧米の花嫁たちのドレス姿ですが、今は誰もが簡単に数多くの事例をチェックできるようになりました。
「海外ではマーメイドドレスの着用率が高いため私たちの目に触れる機会が増え、外国ならではのスタイリッシュな雰囲気も手伝って、憧れのドレスとなっています。日本国内ではプリンセスラインやAラインドレスを着る花嫁さんが多いので、人とは違った自分ならではの着こなしをしたいという花嫁さんには特に魅力的に感じるのでしょう」(山本さん)
でも、日本人女性と欧米の女性の体型の違いが気になりますが……。
「日本女性のスタイルが欧米型に近づいてきていることもあり、着こなせる方が増えています。いかり肩やふくよかな体型を気にされる花嫁さんがいますが、そういった欧米体型の方のほうが似合うんです。ただし、どんな体型の方でも、ぴったり合うように細かく調整することで、美しく着こなすことはできますよ」(同)
■体型の悩みをカバーする、マーメイドドレスの選び方
「自分はスタイルが悪いから……」という思い込みでマーメイドドレスを諦めるなんてもったいない!体型別のドレスの選び方と着こなし方を山本さんに教えてもらいました。
・【お悩み1】背が低い
背が低い人の場合、ポイントは膝の絞り位置を高めにつくること。絞り位置が高いほど足が長く、胴は短く見えます。また、ウエストの切り返しがあるほうがウエストが細く見えます。切り返しがないと縦長ラインが強調されますが、背が低い場合は足長に見える位置に切り替えが入っているタイプをおすすめ。ヒールが高いシューズも、もちろん有効です。
・【お悩み2】背が高い
背が高い人の場合、絞りの位置は高くても低くてもOKですが、切り返しは無いものがベター。切り返しのない一枚続きのドレスの方が、高身長ならではの縦長のラインを生かすことができて、すらりと見せられます。
・【お悩み3】ふっくら体型
デコラティブなものよりシンプルなデザインのほうが、すっきり感が増します。生地素材はレースよりもシルクサテンやミカドシルクを選択して。レースがあるとその厚みのぶんだけボリューミーに見えてしまいます。一方シルクサテンやミカドシルクはハリがあってシャープな印象になります。
・【お悩み4】スリム体型
レース生地や飾りのついたデザインのドレスが、きゃしゃなボディをふんわりと女性らしく見せてくれます。デコルテに厚みがない場合は胸元にレースがあしらわれたドレスを。マーメイドドレスよりも全体に絞りが弱めで凹凸を強調しにくいソフトマーメイドもおすすめ。
・【お悩み5】ぽっこりおなか
体のラインを出すドレスなのでぽっこりのカバーは困難ですが、ブーケで隠すという方法があります。ただしブーケは縦長タイプを選ぶこと。横幅があるブーケだとマーメイドらしい曲線のシルエットを隠してしまうため、ドレスの良さを生かせません。
・【お悩み6】むっちり二の腕
二の腕は中途半端にカバーしないこと。ノースリーブや半袖は避けて、袖ありならフレンチスリーブを。またはビスチェタイプを選び、潔く腕を出す方が意外とむっちり感は気にならないはず。ベールがふんわりと二の腕にかかるように付けてもいいでしょう。
このほかにも、小物の使い方もいくつかポイントがあります。
「ネックレスやグローブがあるときっちりした印象が強くなるため、あえて着けずに。決め過ぎないことがおしゃれに着こなすポイントです。隙のないきっちりしたコーディネートよりも、抜け感をつくるほうが今っぽい着こなしに見えるんです。とはいえ、これらがないと寂しい印象になるので、大き目のイヤリングで耳元は華やかに。髪型は、ナチュラルな雰囲気にする場合は下ろして。背中が開いているドレスではとくに、髪のかかり具合のバランスが良くおすすめです」(山本さん)
そして、なによりも大切なのは「ドレスのサイズが合っていること」と山本さん。スカートの膝の絞りの位置も、着る人の体に合わせて入れるのが理想的。自分にぴったりとフィットするドレスを選びたいなら、オーダーメイドを検討しても良さそうです。
■美しく着こなすためには、体型作りよりも姿勢の改善を!
エステやエクササイズなど、挙式までに体型作りをする花嫁は多いもの。では、マーメイドドレスを着る場合に、主にどの部分をケアすべきなのでしょう。
「身長やボリュームによる悩みはドレスの調整で対応できても、姿勢の歪みはカバーできません。ダイエットよりも姿勢改善に注力しましょう。歪みを直せば下腹部のぽっこりも改善されますよ」(山本さん)。
また、正しい姿勢をキープできる下着を身に着けるという方法もあります。一般的なドレス決定時期は式の3、4カ月前とされていますが、このあいだはぜひ「正しい姿勢」を意識して過ごしましょう。
■自信を持って着こなせる! マーメイドドレス試着レポート
“意外と着る人を選ばない”は、果たして本当? CORDYスタッフ・澤田美優が試着体験をさせてもらいました。
身長150cm、本人いわく「ややぽっちゃり体型が気になる」とのこと。コンプレックスは「二の腕」で、普段は二の腕が目立たないデザインの服を選びがちだそう。「マーメイドドレスはムチムチ感がより強調されそうな気がして…着こなせる自信はないです」と不安な表情。
「二の腕が気になるという花嫁さんは多いです。そういう場合は、隠すよりもむしろビスチェタイプなどで腕全体を出してしまったほうが目立たないんですよ」(同)
・二の腕は隠すより見せる。ビスチェタイプを試着
というわけで、山本さんのアドバイスに従って、ヒール高12cmのシューズを履き、ハリのあるミカドシルクのビスチェタイプを試着。すると・・・・・・
なんということでしょう! 背の低さを感じさせないすらりとした花嫁姿に! ウエストからヒップにフィットさせた曲線は美しく、スカートのドレープ(ひだ)を正面に流せばメリハリが生まれるとともに、一層優雅な雰囲気になりました。
二の腕は隠さずに思い切って出すことでかえって目が行きにくく、ベールが程よい目隠しにもなるため、本人も「思っていたよりも気にならない」と嬉しそう。
・大人っぽい雰囲気に仕上がるレースの長袖タイプ
その次に試着したのは、1着目とまったく雰囲気の異なるレースの長袖タイプ。
「長袖タイプは、腕にたるみが無いように調節することが美しく見えるポイント。こうすることで、気になる腕もすっきり見えます。また、このドレスはVネックなので、小顔効果もあり、気に入っていただけると思います」(同)
ではこちらもさっそく試着。
背中やウエスト、腕まで細かなサイズ調整中。実際にはその人の体型に合わせて調節してくれますが、試着時は仮止めで対応してくださいました。ぴったりしつつもきつすぎない、絶妙なフィット感が着心地の良さと洗練度を高めます。
こうして約10分ののち、試着完了!
肌の露出が少ないため、ビスチェタイプよりもエレガントで大人っぽい印象に。無駄なたるみがないので、腕もすっきり見えます。
ヒップを覆うリボンは着脱可能。ヒップラインを見せたくない時のお助けアイテム。マーメイドラインを邪魔することなく、ヒップラインをふんわりとカバーしてくれます。
最後に、今回はじめてマーメイドドレスを試着してみての感想は?
「マーメイドドレスでも、いろいろなデザインがあって、自分の体型に合わせて選べることがわかりました。特に、裾の広がりがシャープなドレスのほうが、すらっと見えて自信が持てます。また、ブーケを持つと脇があくので、二の腕が強調されにくいということは発見でした」(澤田)
実際に着てみてこそわかるマーメイドドレスの魅力。どんな体型でも、その体型を美しくみせてくれるドレスを選べば、自信を持って着こなせることがわかりました。
■コンプレックスすら魅力に変えるマーメイドドレス
「マーメイドドレスがほかのドレスと異なる点は、体のラインを隠さずしっかり出すことにあります。そして、自分らしさを生かしコンプレックスすら魅力に変える着こなしのコツはいくつもあり、バリエーションの楽しみ方もさまざま。実際、試着してみてから“自分が思っていたよりも、私は魅力的なんだ”と気付いて顔を輝かせる方も多いんです。そういった言葉を聞けた瞬間がいちばん嬉しいですね」と山本さん。
落ち着いた大人の女性ならではの魅力を最大限に引き出してくれるマーメイドドレス。自分らしさを大事にしたい、人とは違ったウェディングドレスの着こなしを楽しみたいという花嫁さんは、ぜひ一度試着してみてはいかがでしょうか。