■ 「持ち込み」とは式場の提携ショップ以外から選ぶこと
「ウェディングドレスを持ち込む」とは、契約した結婚式場の中にある衣裳サロンや式場から紹介されたショップ以外のドレスを選ぶことを指します。
「持ち込み」に該当するのは以下のようなケース。
・結婚式場に紹介されたショップ以外でレンタルする
・結婚式場に紹介されたショップ以外で購入する
・「母から譲り受けた」など自前のドレスや着物を着る
・新郎が職場で着ている自衛隊や警察官、消防員などの制服
式場見学の時「衣裳の持ち込みはご遠慮いただいております」などと言われた場合、基本的には上記のすべてを受け付けない、逆に式場から紹介されるショップのなかからしか選べないことを意味します。
「母から譲り受けたドレス」「自衛隊員の新郎の制服」などは、例外的に認められることもあります。
「持ち込み」は、衣裳だけでなく、会場を飾るお花・ヘアメイク・当日の写真撮影・引き出物など、結婚式に必要なほぼすべてのアイテム&サービスに当てはまる考え方です。
結婚式場が自前で用意するのは、パーティスペース・料理・飲み物。それ以外に結婚式で必要なアイテム&サービスは、外部の専門企業と提携契約を結んでカップルに提供しているケースが大半です。こうした「提携先」以外のショップ、カップルが独自に探してきたアイテムやサービスのことを「持ち込み」と呼んでいます。
持ち込みに対する式場側のスタンスとしては、
・自由に持ち込みOK
・式場が定めた「持ち込み料」を払えばOK
・持ち込みNG
という大きく3つに分かれます。各式場のスタンスは、ホームページなどには書かれていないケースがほとんど。後から「提携ショップ以外でお目当てのドレスを見つけていたのに持ち込みNGだった」といった事態を避けるためにも、式場見学の時に直接確認するか、式場見学の前に式場紹介カウンターなどで聞いてみることをおすすめします。
■ 「持ち込みNG」だと何が困るの?
「持ち込みNG」ルールの最大の問題点は、選択肢が狭められることです。
ただ、式場見学の時点では、それが自分たちにとってマイナスなことだと気付かず、「ルールのひとつ」などと軽く受け止める人も多いようです。
ところが、実際にドレス選びをはじめてみると、持ち込みの制限をうとましく感じるようになるケースも・・・。
以下、卒花嫁の声を紹介してみます。
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M.Oさん/東京都 「式場契約時にドレスショップは一択だと言われ、心配な気持ちになったので『種類はありますか?」と聞いたら、「たくさんありますよ!』という返事。でも、実際にドレスショップを訪問してみると、私好みのデザインはほとんどありませんでした・・・。『どんなドレスが着られるのかも調べておけばよかった』と、会場の雰囲気だけで契約してしまったことを後悔しましたね」
もちろん、式場の提携ショップのなかから運命を感じるドレスを探し出せる人もいますが、その時点では「提携ショップだけで十分」と言い切れない人が大半ではないでしょうか。
式場選びの際に、持ち込みに対して寛容かどうかをチェックしておくと、後々、心底着たいと思えるドレスを心おきなく選べるでしょう。
>>ドレス持ち込みNGは後々辛い!運命の1着を求め式場探しからやり直した卒花嫁の実話
■ 持ち込み料=保管料? 本当の理由は式場のビジネス的な都合
提携先以外のドレスを選ぶ場合、「持ち込み料」を課す式場もあります。相場は1着あたり3~5万円、なかには1万円、10万円というケースもあるようです。この料金は、具体的に何にかかる費用なのでしょうか。
式場側の回答として最も一般的なのは「保管料」。届いたドレスの梱包を解いて、ブライズルームなどに掛けておいたり、式後、荷造りしてドレスショップへ返送したりといった手間暇に対する料金というわけです。
でも本当は、「持ち込み」になると、式場に提携ショップからの「紹介手数料」が入らなくなるため、その分を少しでも補てんしたいというのが大きな理由です。「持ち込みNG」の場合は、紹介手数料をできる限り逃がしたくないという心理がうかがえます。
上述のとおり、式場はドレスショップだけでなく、フローリストやカメラマンなど、多くの外部企業と提携契約を結んでいます。「紹介手数料」は、そのすべてに対して発生しますが、ドレスの場合、高額商品であることに加え、紹介手数料がレンタル料の50%に上るケースも多いため、余計に提携先のなかから選んでほしいという考えが働いているのです。
なかには、式場がドレスショップを自社運営していたり、元々ドレスレンタル業から派生して式場運営しているケースもあります。その場合、ドレスのレンタル料は100%売上として計上できるため、ビジネスとして考えれば逃がすのはもったいないというのも、うなずけます。
■ 「持ち込みNG」をくつがえすトーク術
式場にどんな都合があれ、花嫁としては衣裳を妥協して選びたくはないですよね。
ここでは、「持ち込みNG」というルールをくつがえすためのトーク術を紹介します。
1.「持ち込みを認めてくれないと契約できない」
もっともスムーズな方法は、式場を契約する時点で、持ち込む可能性があることを伝え、有利な条件で認めてもらえるよう交渉することです。
契約後、ドレス選びをスタートした段階で相談しても「納得のうえ契約したはず」などと切り返され、話が通りにくくなります。
契約時におすすめしたいのは、
「提携ショップ以外で気に入るものが見つかる可能性がある。持ち込みを認めてくれないと契約できない」といったトークです。
式場側もすべてが台無しになるよりは、ある程度譲歩しても契約を取れた方がいいと考えるため有利な条件を提示してくれる可能性が高いです。
2.「1着は提携店で選ぶので、こちらの1着だけは認めてもらえませんか?」
ウェディングドレスとカラードレス、見積りに2着が含まれている場合、「どちらか1着は提携店で選ぶ」という条件を提示してみると、式場を契約した後でも、受け入れてもらえることがあるようです。
この時のポイントは、いかにそのドレスに運命を感じているか、熱意を伝えること。「ほかのドレスには感じないときめきを感じた」「コンプレックスを忘れさせてくれるほど自分の体型にフィットしている」など、そのドレスでなければならない理由を具体的に伝えると、式場側も「式場の都合もあるけど、お客様が納得できる方がいい」などと歩み寄ってくれる可能性があります。
なかには「ウチの提携ドレスショップも素敵」などと、自信を持っている式場もあります。心は決まっていたとしても、提携ショップにも足を運び「それでも、どうしてもあのドレスを諦めきれない」などと言えば、誠意も伝わるでしょう。
>>ドレス持ち込みNGルールは覆せる!式場との持ち込み交渉に成功したプレ花嫁の体験談
動画でも解説しているので、気になる人はチェックしてみてください。
3.「ドレスは自分で運び込みます」
上述したようにドレスが持ち込まれると、式場側にはドレスの管理や式後の返送作業といった負担がかかります。これを口実に「提携外のドレスを扱って傷めてしまったら責任を取れない」といった理由で、持ち込みを拒否されるケースもあります。
そんな時は「自分で運び込みます」と主張してみるのもひとつです。
この場合、ドレスはレンタル(購入)するショップから自宅に送ってもらい、結婚式の前日、車などで自分たちで式場に持っていき、返送のための梱包なども自分で対応することになります。
扱い方を誤るとドレスが破れたり傷んだりするリスクもあるので、ドレスショップに取り扱い方法を確認しておきましょう。
■ 持ち込み料は提携外ショップが負担してくれる?
持ち込みOKだったとしても、持ち込み料などの上乗せ費用は、できる限り最小限に抑えたいですよね。
持ち込み料を抑えるうえで、最も勝率が高い方法は、運命のドレスに出合えたショップに持ち込み料を負担してもらえるよう相談すること。
なかには、「持ち込み料全額負担」を初回試着時の契約特典として提示するショップもあります。「どうしても気に入っているけど、家族にも相談したいので特典の期日を伸ばしてほしい」などと相談すれば、受け入れてもらえることもあるので、焦らずじっくり考えましょう。
全額とはいかなくても一部負担しているショップはあるので、聞いてみる価値はあります。
■ 式場契約時の特典がリセット!? 痛手を最小限に抑える方法
ドレスを持ち込むなら、式場契約時につけてもらっていた特典やパッケージプランならではの割引がリセットされるという式場も多く、ひどい場合は最初の見積りから100万円程度上がってしまうこともあります。
割引や特典は、契約後の交渉では完全にリセットされることが多いですが、実は契約前なら割引額が減る程度で収まることも。
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CORDYウェディングプランナー kanakoさん 「過去に在籍していた式場では、基本は持ち込みNGでしたが、契約前から『持ち込みが前提』とおっしゃるお客様には特例で5万円の持ち込み料を適用していました。この場合、割引特典が30万円なら25万円にするといった対応をしていました」
「でも時すでに遅し・・・」という人に向け、契約後の交渉術として以下のような対策を考えてみました。
・必要なものだけ「積み上げ方式」に切り替え
ドレスを持ち込んだら、パッケージプランならではの割引がリセットされるという場合、料理・飲み物・会場費など必要なものだけを積み上げていくスタイルに切り替えてもらえるよう交渉してみるという手もあります。
ただし残念ながら、承諾してくれる式場は少ないようです。でも、理想のドレスを諦めるぐらいなら、ダメ元でも聞いてみてはいかがでしょうか。
・情に訴える
式場側としては「持ち込みのルールにも納得したうえで契約したはず」という考えがありますが、とくにウェディングプランナーは基本的には「幸せな結婚式を挙げてほしい」と思っています。
そのため、どうしても着たいドレスが提携外で見つかってしまった場合は、その気持ちを正直に情熱を込めて伝えるというのが最終手段です。
「持ち込めたとしても100万円も見積りが上がってしまったら払えない、でもどうしても気に入ったドレスを諦められない」などと伝えれば、割引や特典も完全にリセットではなく、可能な範囲で取り計らってくれることもあります。
ただし、なかには「ルールだからどうしようもない」と、一切取り合ってもらえない式場もあるので注意が必要です。
式場見学の段階から、ツイッターなどのSNSで式場名や運営会社名などをタグ検索するなど、各式場の対応や姿勢をチェックしておくことをおすすめします。
■ 提携外ショップでも試着してみたプレ花・卒花の実体験
「式場が持ち込みNGだから、あれこれ見てもムダ」といった理由で、式場の提携ショップしか足を運ばない人もいますが、運命の1着と出合う可能性を狭めてしまいます。
納得いくまで試着してみて、そのうえで提携ショップのドレスがいいと思える可能性もありますが、選択肢を制限されたなかから選んでも「運命の1着」という実感は薄いのではないでしょうか。
ここでは、提携先以外のショップでも試着してみたというプレ花嫁・卒花嫁の体験談を紹介してみます。
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M.Oさん:卒花/千葉県 「最終的にはホテルの提携ショップで選びましたが、提携外も含め4、5店で試着してみたからこそ、納得して決められたと思います。
提携外のショップでは、Instagramで見て憧れていたインポートドレスにもチャレンジしましたが、着てみたら私にはしっくりこない・・・。でも、試着せずに終わっていたら『あのブランドも着てみたかったな』と未練が残ったのではないかと思います。
あれこれ試着したからこそ、提携ショップのドレスが『運命だ』と確信できたと思います」
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T. Mさん:プレ花/東京都 「提携店以外にも行ってみて、一番よかったのは自分の想像していた以上に色んなドレスがあることを知れたこと。
試着する前の憧れは、ボリュームたっぷりのフワフワシルエットにキラキラグリッターのドレス。提携ショップで試着したドレスはイメージ通りでその時は満足しましたが、提携外も見に行くなかで憧れのドレスはどんどん上書きされていきました。
最終的に一番心が惹かれたのは軽い素材にグリッターの入ったインポートドレス。最初に着たドレスのグリッターがプチプラアイシャドウの「ギラギラ」だとしたら、インポートドレスのグリッターはデパコスの上品な「キラキラ」(笑)
店員さんの説明によると『日本のドレスはレンタルすることを考えて耐久性のある生地を使っているのに対し、インポートは袖を通すのは1回きりという前提で作られているので、そのドレスが最も美しく仕上がることを考えて生地も選ばれている』とのこと。透けるように繊細なレースやチュールなど、日本のドレスとの違いも納得だと思いました」
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M.Wさん:プレ花/東京都 「カラードレスだけ、提携ショップ以外のものを選びました。
実は、私は初めて提携ショップで試着した時、どのドレスも素敵に見えたので、提携外のショップに行かなくても、どれかを選ぶことはできたと思います。でも、後からInstagramなどで気になるドレスを見つけたら「試着だけでもしておけばよかった」と、後ろ髪を引かれる思いがしたでしょう。
もし、持ち込みを認めてもらえなかったとしても、提携外のドレスショップで試着したことを後悔することはなかったと思います。提携ショップにはないテイストのドレスも着てみたからこそ、自分の好みのドレスの特徴がわかってきて理想のイメージを伝えやすくなるというメリットもあったと思います」
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K. Hさん:プレ花/東京都 「たくさんのショップで試着してみて、思いもよらないドレスが似合うという新発見がありました。
元々、年齢よりも若く見えるタイプなので、ドレスもシンプルや大人っぽいデザインより、プリンセスラインなど華やかなデザインの方が似合うだろうと思っていたんです。
でも運命を感じたのは、Vネックのシンプルなデザイン。胸元が大きく空いたデザインは鳩胸の私には似合わない、太って見えると思い込んでいましたが、そのドレスは気になる体型をカバーしてくれ、むしろ細見えしました。この体型コンプレックスはコーディネーターさんにも伝えていて、そこを意識して選んでくれた1着だとしたら、“神”だと思います!」
■ ドレスを持ち込む時の注意点
式場にドレスを持ちこみたいと相談すると、「提携ショップの方が安心」などと説得されることもあるようですが、提携外ショップの場合、どんな不安やトラブルの可能性があるのか、またそれらを解消するための対策を考えてみました。
・結婚式当日のサイズ直しができない
提携先ショップの場合は、結婚式当日も縫製のできるスタッフが立ち会ってくれ、微妙なサイズ調整にも対応できたりしますが、持ち込みの場合は不可。
提携ショップのスタッフにとって、自社のものでないドレスは、傷めてしまうリスクがあることから、針を入れることはありえません。
一般的に、最終フィッティングのタイミングは結婚式の1週間前頃ですが、不安な場合は極力、後ろ倒しでお願いしておくとよいでしょう。
・直前のアイロンがけなどメンテナンスが難しい
とくに、トレーンが長いデザインなどはドレスショップから運ばれてくる間にシワが寄ってしまうこともあります。その場合、式場側では「扱い方の分からないドレスにアイロンをかけて傷めてしまったら責任が取れない」などと、対応してもらえないこともあります。
レンタルするドレスショップに、事前に丁寧に梱包して運んでもらえるよう確認すると同時に、万一のために最適なメンテナンス方法を尋ねておくと安心です。
■ 提携ショップに捉われず好きな店に行ってみよう
大切なことは、自分が心から着たいと思えるドレスを選ぶこと。運命のドレスは提携ショップのなかにあるかもしれませんが、「絶対そのなかにある」とは言い切れません。
だからこそ、持ち込みNGという理由で提携ショップのなかから選ぶというのは、もったいない考えだと、CORDY編集部は考えます。
まずは、式場の提携かどうかに捉われず、「素敵!」と感じるドレスショップに足を運んでみましょう。できるだけ幅広い選択肢のなかから「運命の一着」を探してみてください。
「最初に、ドレスの持ち込みがNGと言われた時はさほど問題だとは思っていませんでしたが、いざドレス選びを始めてみると、自由に選べないことがどれほど辛いことなのかを実感するようになりました。最終的に提携ショップのドレスを選んだとしても、選択肢は広い方がいいので、式場を契約する時点で、持ち込みの可否を確認しておくことをおすすめします」