和装花嫁が着る「着物の柄」に込められた意味とは? 鶴、御所車など種類と由来を解説
ドレス・衣裳

和装花嫁が着る「着物の柄」に込められた意味とは? 鶴、御所車など種類と由来を解説

2022.06.07 2022.06.07

花嫁が結婚式で着る着物には、さまざまな柄があしらわれていますが、それらに込められた意味や由来をご存知でしょうか。実は一つひとつに昔からの由来があったり、結婚式にぴったりの意味が込められていたりします。着物の柄や色の意味について理解しておくことで、衣裳選びがより楽しくなるでしょう。

目次

  1. ■祝いの場にもっとも相応しい「吉祥文様」。それぞれの柄が持つ意味は?
  2. ・自然・風景文様
  3. ・植物文様
  4. ・動物文様
  5. ・幾何学文様
  6. ・器物文様
  7. ■白は「真っ白なまま嫁ぐ」。色ごとの意味とは?
  8. ■柄の意味を理解して楽しく衣裳選びをしよう
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■ 祝いの場にもっとも相応しい「吉祥文様」。それぞれの柄が持つ意味は?

吉祥文様には「夫婦円満」「平和」などの意味が込められている

吉祥文様(きっしょうもんよう)とは、良い兆しやめでたい印を表現した文様の総称で、多くの花嫁着物に描かれています。ほかにも「夫婦円満」「平和」「長寿」「繁栄」といった意味があるとされています。多くの意味を持つ吉祥文様ですが、総じて縁起がよく、お祝いの場に相応しい柄といえるでしょう。

吉祥文様の各柄が持つ意味や由来などについて、「自然・風景文様」「植物文様」「動物文様」「幾何学文様」「器物文様」と、それぞれの柄に合わせて見ていきましょう。

・自然・風景文様

「雲」

「現れるとよいことが起こる」

古代中国で「現れるとよいことが起こる」と言われていたとされる雲。日本にも古くからその考えが広まり、花嫁の着物によく描かれています。

雲のなかにも、「瑞雲(ずいうん)」や「雲取り(くもどり)」などの種類に分けられます。着物のメインの柄として描かれていることもありますが、多くの場合、鶴などほかの柄と一緒にあしらわれます。

「流水文様(りゅうすいもんよう)」

「困難などを流してくれる」「火難から身を守る」

絶えず流れ続ける流水からは、清らかさや永遠の意味を重ねていると言われ、加えて「困難などを流してくれる」「火難から身を守る」などの思いも込められています。流水文様には、風景や草、桜などの花と一緒に描かれることも多くあります。

同じ流水文様でも着物によって印象がまったく異なるのが特徴。大きくダイナミックに描かれた着物は力強さを、桜と一緒に細い線で描かれた流水は上品さを表現してくれます。

・植物文様

「桜」

「縁起の良いことの始まり」「人生のスタート」

桜は日本における代表的な花のひとつ。桜が咲くのは春ということから、春にしか着られない柄という印象がありますが、春は桜だけでなくたくさんの草木も芽を出す季節で「縁起の良いことの始まり」「人生のスタート」を意味しており、実は1年を通して着用することができます。

「松竹梅」

松・竹・梅それぞれの意味から「生命」を連想

松竹梅には、それぞれ以下のような意味が込められています。

・松:冬の寒い環境でも育ち、強い生命力を持つ。
・竹:寒い季節にもまっすぐに成長する。
・梅:冬が過ぎるとすぐに美しい花を咲かせる。


このように、松竹梅は冬の厳しい寒さの中でも緑を保ち、花を咲かせる植物のため、「生命」を連想させる柄といえます。寒さに耐えるという意味から冬に着られることが多いですが、花嫁衣裳としてはそこまで季節にこだわる必要はありません。縁起の良い柄として1年を通して着用が可能です。

「菊」

「不老長寿」「無病息災」

菊は古くから「不老長寿」の意味を持つ花です。これは薬として使われていたことが由来となっており、「無病息災」も意味します。同時に気高さや上品さを表しており、鶴などの柄と一緒に描かれることが多くあります。

また、「万寿菊」という、菊の花を簡略化した柄もあります。こちらも名前のとおり、長寿を祝う場に相応しい柄です。一般的に菊は秋の花ですが、季節問わず着用できます。

「牡丹(ぼたん)」

「幸福」「富貴」

大きな花びらを多く持つ姿が印象的な牡丹(ぼたん)には、「幸福」「富貴」といった意味が込められています。あしらわれている牡丹の大きさや数によって印象は異なりますが、総じて美しく仕上がるといえるでしょう。牡丹の開花シーズンは、春の4〜5月頃。牡丹の花が単体で描かれている着物であれば春に着用するのがおすすめです。

また牡丹単体でなく秋なら紅葉、冬なら雪囲いなど、季節感のあるほかの複数の花と合わせて描かれていたり、柄が描かれた帯を合わせることで通年での着用が可能です。

・動物文様

「鶴」

「夫婦円満」

「鶴は千年、亀は万年」という言葉があるように、鶴は「長寿」の象徴となっています。また、鶴は同じ相手と一生を添い遂げることから、お祝いの場にぴったりの柄といえます。

また「夫婦円満」の意味も持つ鶴は、花嫁着物においては2羽以上で描かれるのが一般的。柄の雰囲気や色選びによって、レトロにもモダンにも着こなせるので幅広い年代から人気です。たとえば、伝統的な赤色の着物と鶴の柄の組み合わせならレトロに、パステルカラーやビビットカラーなどの色と合わせたらモダンな印象になるでしょう。

「鳳凰(ほうおう)」

「平和」「夫婦の調和」

鳳凰(ほうおう)は中国から伝わる伝説の鳥です。中国では幸せな世界になると訪れると信じられており、「平和」を象徴するものとして好まれてきました。

鳳凰の柄は華麗な印象になるのが特徴ですが、金色を使った着物を選ぶとよりゴージャスな仕上がりとなります。「夫婦の調和」も意味する柄で、花嫁着物にぴったりです。

「孔雀(くじゃく)」

羽を広げた姿が華やかな孔雀(くじゃく)。「子孫繁栄」「邪気を払う」などの意味を持ちます。これは、孔雀が毒蛇を食べても生きていけるほどの強い生命力を持つことが由来とされています。

羽を広げた孔雀が着物一面に描かれているものや、孔雀の羽のみが描かれているものなどがあります。牡丹や菊など、花が一緒に描かれている場合は花の季節に合わせて着るとよいでしょう。

「鴛鴦(おしどり)」

「夫婦円満」「良縁」

「おしどり夫婦」という言葉があるように、鴛鴦(おしどり)は「夫婦円満」「良縁」などの意味を持つ柄です。生涯連れそうパートナーといった意味合いでは鶴と同じですが、可愛らしい柄にしたいと考えている方には鴛鴦がおすすめです。

御所車や蝶、波などさまざまな柄と一緒に描かれることが多く、年中通して着用できます。

「蝶」

「出世」「再生」「復活」

蝶には「出世」「再生」「復活」などの意味があります。幼虫から蝶になるまでの過程からこれらのイメージが連想されたそうです。

牡丹や桜、すすきなど組み合わせられることの多い柄は多岐にわたります。そのため、牡丹や桜であれば春に、すすきであれば夏か秋に、といったように着る季節を合わせるとよいでしょう。

・幾何学文様

「波文様(なみもんよう)」

「平穏な暮らし」

波文様には青海波(青海波)や青海波文(せいがいはもん)があります。特に有名なのが青海波文で、円を扇状に重ねた柄になっています。どちらも幾何学文様のひとつで、古くから用いられています。

波の様子からは「未来永劫」が連想されることから、平穏な暮らしといった意味が込められています。

「紗綾形(さやがた)」

「不断長久」

紗綾形(さやがた)は多くの場合、卍を斜めに崩してつなげた文様と表現されます。卍は仏教やキリスト教などでそれぞれ異なる意味を持ちます。「不断長久(絶えることなく長く続く)」の意味を持つ紗綾形は、長寿などの意味も込められているようです。

古くから慶事礼装用の服装に使われていた柄ということもあり、レトロな雰囲気に仕上がります。

・器物文様

「熨斗(のし)」

「おめでたい 」「華やか」

慶事における贈り物に使われるなど、日常生活でもよく目にする飾りを熨斗(のし)といいます。これを帯状に文様化したものが着物でもよくあしらわれています。「おめでたい」「華やか」などの意味を持ち、お祝いごとの場にぴったりの柄です。

それぞれ柄の異なる熨斗を束ねたものを束ね熨斗といい、よりきらびやかな仕上がりになります。

「御所車」

「華やか」「富」

御所車とは貴族の乗り物で、牛車のことをいいます。見た目のとおり「華やか」という意味や、貴族が乗っていたことから「富」といった意味を持ちます。

流水や四季の草花と一緒に描かれることが多く、華やかな印象に仕上がります。車輪のみをあしらうケースもあり、これは源氏車と呼びます。

「檜扇(ひおうぎ)」

「繁盛」「開運」

檜扇(ひおうぎ)とは平安時代の装身具で、姫君が持つ扇のことです。広げたときに末広がりの形になることから「繁盛」「開運」など、縁起がよい意味を持っています。

実際の檜扇には鶴、亀、松竹梅などが描かれることが多いですが、着物の柄で使用されるときには花があしらわれることもあるなど高貴な雰囲気になっています。1年を通して着用することが可能です。

「糸巻文(いとまきもん)」

「長寿」

糸巻文(いとまきもん)とは、糸巻きに糸を巻いている様子を表した柄です。糸巻きと糸が常に一緒に描かれていることから、良好な関係を願う文様とも言われています。

糸巻きの形にバリエーションがあるだけでなく、糸巻きから糸が伸びているものは「長寿」の意味を持つそうです。

「貝桶(かいおけ)」

「結婚」「貞操」

「貝合わせ」という対になる貝を探す遊びの際に、貝を入れる箱を貝桶(かいおけ)といいます。平安時代に流行していた遊びであり、対となる貝を探す様子から「夫婦和合」「運命の人との出会い」の意味を持ちます。

元の貝としかぴったり合わないため、「結婚」「貞操」の象徴ともされていました。

■白は「真っ白なまま嫁ぐ」。色ごとの意味とは?

着物の色にもそれぞれ意味があります。また、色によって式での印象もガラッと変わるので、併せて参考にしてみてください。

「厄除け」「魔除け」「病気払い」

赤には「厄除け」「魔除け」「病気払い」の意味があります。分かりやすい例として、神社の鳥居などが挙げられます。悪を払うだけでなく、良いものを呼び込むとも言われています。また、赤色は太陽や血液を連想することから、「生命力」「情熱」といったエネルギッシュな印象も持ち合わせています。

赤は鮮やかで明るい色であることから、式で着ると華やかな印象を与えることができます。また、着る年齢を選ばないのも嬉しいポイント。流行に左右されたくない人や、色選びに迷っている人は定番の赤がおすすめです。

「誰にも染まらない」「不動」

黒というと喪服などを連想してしまう人もいるでしょう。しかし、お祝い事の場において、黒には「誰にも染まらない」「不動」などの意味があります。格式が高く、合わせる色を選ばず高級感のある仕上がりになります。ほかに引き立てたい色がある際にも、黒をベースに選ぶのがおすすめです。

会場を華やかな雰囲気にする赤とは打って変わって、大人っぽくシックな印象になるのが特徴。ただし、親族が第一礼装として黒留袖を着てくる場合には色が被ってしまう可能性があります。柄やほかの小物で華やかさをプラスするとよいでしょう。

「真っ白なまま嫁ぐ」「これからどんな色にも染まる」

■柄の意味を理解して楽しく衣裳選びをしよう

白には「真っ白なまま嫁ぐ」という意味を持つほか、「これからどんな色にも染まる」という決意を表現する色でもあります。白い花嫁衣裳といえば白無垢が代表的ですが、いずれも汚れのない、まっさらなイメージが持たれています。気に入った文様があり、それらをより引き立てたい場合には白を選択するのもよいでしょう。

白の着物と神社での挙式は相性がとてもよく、厳かな雰囲気になります。ひと口に白といっても、もっとも格式が高い和装である白無垢や、さまざまな柄を楽しめる色打掛など、バリエーションは豊富にあります。

花嫁着物の柄や色にはさまざまな意味が込められています。複数の柄があしらわれているものもあるので、気になった柄と季節に合わせた柄を組み合わせて選ぶのもよいでしょう。衣裳は式で着たときの印象が第一ですが、古くからの由来や意味も考えて衣裳選びができることも和装花嫁の醍醐味のひとつです。

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